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アレルギー相談室に寄せられたご質問より

Q.抗炎症薬ベースの治療の際の患者教育・指導について教えて下さい。(名古屋市I.Y.)
A.喘息の概念、定義は未だ完全に確立されたとはいえないが、肥満細胞、好酸球などの多くの細胞が関与する気道の慢性炎症性疾患である。それ故、抗炎症作用を有するDSCG吸入、あるいはBDP吸入を喘息治療の中心に位置付け、これら吸入薬で不十分な場合には、経口抗喘息薬を追加投与する。


医療法人宮武内科 宮武 明彦
ここ数年の間に、気管支喘息診断治療のガイドラインがイギリスをはじめ各国から示され、1992年に米国HLBI(Heart,Lung and Blood Institute)とWHOから喘息の診断と管理のための国際コンセンサスレポート(International Consensus Report on Diagnosis and Management of Asthma)が出され、1993年には日本アレルギー学会より喘息診断と治療のガイドラインが発表された。
ガイドラインの目的は、喘息の診断治療の混乱を整理することと、専門医以外の一般医も共通の認識のもとに、喘息の治療が実施できるようにするための、道案内のようなものだといえる。しかし、ガイドライン、イコール、喘息マニュアルではないので、主治医は、自分自身が利用し易いガイドラインを参考に、それぞれの患者に応じた診断治療法を決める必要がある。
【喘息重症度】
日本アレルギー学会の重症度分類によれば、軽症とは、喘息のみか、軽度の喘息症状(小発作)が散発的に出現するもので、気管支拡張剤で治療可能。重症とは、高度の喘息症状(中、大発作)が頻発して日常生活が困難なもので、経口プレドニゾロン10mg/day以上かベクロメサゾン(BDP)1000μg/day以上の大量吸入を必要とするもの。中等症とは、両者の間に位置し、慢性的に喘息症状があり、週1〜2回の中発作があり、しばしば日常生活、睡眠が妨げられ、気管支拡張剤が毎日必要で、BDP200〜1000μg/dayでコントロール可能な症例と分類されている。
【治療の実際】
軽症の喘息患者に対しては、DSCG吸入を第一選択にし、β2刺激剤の吸入を適時使用します。
中等症の喘息患者に対しては、DSCG、BDP吸入および徐放性テオフィリン製剤の内服を開始し、発作の回数が多ければ、β2刺激吸入剤を併用します。BDPの増量を行っても発作が減少しなければ、経口ステロイドの内服を始めます。ステロイドの内服が必要な患者には、原則として、ピークフローメーターの自己測定を朝、晩に2回以上実施し、PEFRの平均値が自己のベースライン値に復帰するか、日内変動が20%以内に安定するか、あるいは発作が軽快した時点で、内服ステロイド剤を中止する方向に指導します。
BDP1000μg/day以上吸入しても症状が改善しなければ、早い時期に、短期ステロイド内服を考慮し、quality of lifeを優先させます。
【吸入療法】
気管支喘息治療の基本は吸入療法であり、β2刺激剤、BDP吸入の使用に際しては、肺内到達率を高めるため原則としてスぺーサーを使用し、発作あるいは呼吸困難感を認めるときには、β2刺激剤の吸入を最初に行います。
吸入療法の患者への指導は忙しい外来時間中であっても、患者の前で実際に詳しく説明し、診察後、患者が十分理解できたか否か、看護婦から吸入の仕方について再度確認を行っています。必要があれば、吸入療法のビデオテープの貸出も行います。また、吸入療法で順調に経過していた患者が、明らかな原因がないのに症状が悪化してきたときには、薬剤が終了しているにもかかわらず、フロンガスのみを吸入し続けたことが、誘引になっている場合が少なからずあります。
吸入療法を成功させるためには、充分時間をかけて患者指導を行うことが大切です。

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