私の治療指針

医療法人宮武内科
宮武 明彦

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1.BDP高容量吸入療法
2.経口グルココルチコイド薬の減量と離脱
3.おわりに

日本においても気管支喘息に対してbeclomethasone dipropionate(BDP)高容量吸入療法が定着するようになり、喘息発作のコントロールが容易になり、発作で入院する患者の数が減少した。
しかし、すべての中等症、重症喘息患者がBDP高容量吸入療法のみで治療可能なわけではなく、経口あるいは点滴静注のグルココルチコイド薬が必要な症例も決して少なくない。特に罹病期間が長く、BDP高容量吸入療法が導入される以前に、グルココルチコイド定期内服が必要であった症例に関しては、BDP高容量吸入療法が成功する確率は決して高くない。喘息外来においては、グルココルチコイド内服の減量は可能であっても、完全中止出来ない症例が少なからず認められる。
このような患者を如何に治療し指導して行くかが、喘息を専門に扱う医者に課せられた現時点での最大の問題点であると考えられる。

1.BDP高容量吸入療法
患者にBDP1000mcg/day以上吸入をするように指示しても、発作がコントロール出来ない場合の原因として、(1)始めから指示量のBDP吸入を行っていない。(2)吸入方法が正確に行われていない。(3)スペーサーの使用方法の間違い、あるいはスペーサーを持っているのに全く使用していない。(4)吸入剤(ボンベ)の使用容量を理解していないため、薬剤が終了しているにもかかわらずフロンガスを吸い続けている。(5)喘息症状が軽快したら、自分勝手にBDP吸入量を減らしている等である。
このような現象は、新患よりもむしろ罹病期間の長い喘息患者にしばしば認められる。

2.経口グルココルチコイド薬の減量と離脱
経口グルココルチコイド薬からの減量離脱が困難な患者として、(1)毎日高容量BDPを吸入するよりも、グルココルチコイド薬を内服する方が手間が掛からず、発作のコントロールも簡単であると考えている患者。(2)主治医の指示通りBDP高容量吸入を毎日正確に実施しても、症状の改善が困難な患者であり、これらの患者に対しては、喘息治療にグルココルチコイド薬が必要であること、そして副作用の出易い全身投与を最小限にするためには、どのように治療して行くべきか充分説明し、BDP高容量吸入を確実に実施させるために、吸入方法、1日吸入量、スペーサー使用法の確認を行う。また、喘息症状が軽減しても、BDP吸入量を自分勝手に減量しないように指導する。これらの患者に対しては毎日のピークフロー値の記録を原則とし、ゾーンシステム(Green-Yellow-Red Zone)を患者自身で評価し、症状憎悪が認められた場合の追加治療の内容方法を詳しく教示する。毎日正確にBDP高容量吸入が出来るようになれば、(1)の患者の大多数は、経口グルココルチコイド薬は発作時頓用内服程度まで減量可能となる。しかし、(2)の患者の場合は、グルココルチコイド薬内服がどうしても中止出来ない症例が多い。このような患者に対しては、必要以上の減量を試みないでQuality of Life(QOL)を優先させ、最低限必要な経口グルココルチコイド内服を行う。特に、経口グルココルチコイド薬が中止出来ない症例に対しては、rapid ACTH testによる副腎皮質機能および耐糖能の経過観察が必要である。

3.おわりに
気管支喘息の診断治療のガイドラインが日本をはじめ諸外国からも次々に発表され、そのいずれもがBDP吸入療法を喘息治療の中心に据えている。BDP高容量吸入の長期間使用による気管支粘膜に対する影響に関しては、充分な検討がなされていないが、現時点では、BDP高容量吸入療法を主体とし、それのみで発作のコントロールが出来ない症例に対しては、少量のグルココルチコイド薬内服は止むを得ないものと考えられる。


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