SCOPE対談
インターネットは医療をどう変えるか
情報の速さを魚料理にたとえると、テレビ、ラジオは生き造り、
新聞は焼き魚、週刊誌や月刊誌は干物か冷凍食品、
一方、インターネットは踊り食いの鮮度だが、食当りのリスクも高い。
膨大な情報と多様な価値観がネットワークする神経回路のように
ネットワークするメディアの稼動で、医療はどう変わってゆくだろうか。
1997年11月現在、勤務医のインターネット使用率は、53.6%である。
(日本医療情報センターが、勤務医6万人調査、回答率:11.8%)
この対談はファルマシア・アップジョン株式会社様
[SCOPE]98年2月号に掲載されたものです。


山上征二(やまがみせいじ)
大阪市立大学医学部 泌尿器科助教授
1945年生れ
関西医科大学卒
1981年 大阪市立大学泌尿器科助手
1983年 同講師
1993年 同助教授兼人工腎部副部長
代表著書として『透析療法の医療経済』、『O-157溶血性尿毒症症候群治療記録』などがある。
宮武明彦(みやたけあきひこ)
宮武内科医院 院長
1946年生れ
大阪医科大学卒
1970年 大阪大学第三内科
1980年 ロンドン大学
1983年 大阪府立羽曳野病院第四内科
1992年 宮武内科院長
1997年 御堂筋アズマネットワーク特別顧問


アメリカ文化そのもの

宮武 先生がインターネットを活用され始めたのは、いつ頃からですか。

山上 ぼくがインターネットの閲覧を始めたのは、1993年ぐらいですね。

宮武 その当時から、大学にもインターネットは入っていたのですか。

山上 いえ、最初は大学にはなかったので、プライベートですね。大阪市立大学の学内LANは1994年からです。

宮武 ぼくは医局を離れてずいぶんたちますが、いろいろな大学の先生にお伺いすると、インターネットを熱心に利用されている医局と、そうでない医局があるようですが、先生の大学でもやはりそういう傾向はあるのですか。

山上 二極化されるでしょうね。1990年代から、大学病院では医事業務や検査部門を中心に病院情報システムが導入されました。その延長上に現在のインターネットが位置づけされているわけですが、病院情報化が始まった当初から、興味を持っておられる先生と持たれない先生がいます。
 一番の問題は、マルチメディア、特にインターネット環境は、果たして日本人に向いているかどうかですね。コンピュータのキーボード機能が、ずっと手書きで文章を書いていた日本人の生活や社会環境に本当に受け入れられるかです。ソフトの日本語バージョンがあっても元のプログラムは英語です。コンピュータはアメリカ文化そのものではないかという感じがするわけです。タイプライターがあって、その延長上にパソコンのキーボードがありますし、そしてパソコンはプログラムの二進法をベースにした思考ですから。日本人は日本的な感覚のままマルチメディアを受け入れているから、表面的には非常に普及しているように見えるけれど、本質的なところでは受け入れられてない部分が案外あるのでは、という感じがします。

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