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栄養補助食品、女性4人に1人が利用・国民栄養調査
 女性の4人に1人が、ビタミンやミネラルの錠剤、ドリンク剤などの栄養補助食品(サプリメント)を摂取していることが11日、厚生労働省の「2001年国民栄養調査」で分かった。男性は6人に1人で、男女とも50代以降の割合が多かった。30代以上の男性では食事を抜く人が増えており、同省は「まず朝昼晩の三食で栄養をしっかり取ってほしい」とアドバイスしている。
 調査は昨年11月、全国から約1万2000人を無作為に抽出して実施。栄養素摂取状況や肥満度については毎年調べているが、サプリメントの調査は初めて。  錠剤、カプセル、ドリンク状のビタミンやミネラルを飲んでいる女性は全年代の平均で23.6%。10―40代では平均を下回ったが、50代で23.6%、60代で33.4%、70代以上で27.7%と中高年での利用が目立った。男性も全体で利用は17.0%で、50代以上で多かった。
  摂取している男女の6割が「ほぼ毎日飲んでいる」と答えるなど、日常的な栄養源となっていた。同省は「男性は疲労回復、女性は美容のために飲んでいる人が多いのでは」とみている。
一方、朝食などを抜かす「欠食」の習慣がある人は働き盛りの30〜50代で1991年に行った調査よりも増加。20代は46.3%と約半数に上がったが、91年調査より1.6ポイント下がった。
肥満度の調査は体重(キログラム)を身長(メートル)の「BMI」で判定。BMIが25以上の「肥満」の割合は男性で30〜60代で約三割で、いずれの年代も10年、20年前に比べ増加した。
女性はBMIが18.5未満の「やせ」の割合が20年前の調査に比べると20代では1.6倍、30代では2.0倍になるなど、若い女性のやせ志向を示した。
日本経済新聞 2002年12月12日(木曜日) 朝刊

マウスゲノム解読を完了、遺伝子の8割が人間と共通
 理化学研究所など日米欧の国際共同チームは、医薬品開発の代表的な実験動物であるマウス(ハツカネズミ)のゲノム(全遺伝情報)を解読を終えたと発表した。マウスの遺伝子は人間と8割が共通していることが判明、製薬会社が取り組み始めている遺伝情報に基づく「ゲノム創薬」の推進に大きく弾みがつく見通しとなった。
 解読結果によると、ゲノムの大きさを表すDNA(デオキシリボ核酸)の塩基配列数は人間より14%少ない約25億だった。その中で医療品開発などに直接役立つ遺伝子は、判明している人間の遺伝子と8割が同じで、残り約2割も類似していた。全く異なる遺伝子は約1%だった。
 ゲノムの解読は米ワシントン大学、英サンガー研究所などが実施、理研は主として遺伝子の特定作業を担当した。全体の遺伝子の数は「たんぱく質を作らないものを含め4万数千から7万程度。」(理研)と推定している。これらの情報は5日付の英科学誌ネイチャーに発表、世界の研究者向けにインターネットなどで無償公開される。マウスゲノムの解読を受け製薬会社は「病気の原因解明が加速し、医薬品開発の期間短縮にも役立つ」(藤野政彦武田薬品工業会長)と歓迎、遺伝子情報を手がかりにしたゲノム創薬を本格化する。
 例えばがんなどの難病の原因となる遺伝子が分かった場合、人間と共通する遺伝子をマウスから見つけ出し、その遺伝子を欠いたマウスなどを使って詳しく研究する。こうした原因遺伝子の働きを抑える薬もマウスを使って試す。
 ヒトに続いて主要な実験動物であるマウスのゲノムが分かったことで、マウスの遺伝情報を人間と比較していかに医薬品の開発に結びつけるかが、製薬会社の研究開発の優劣を左右することになりそうだ。
 マウスゲノムについては昨年4月、米セレーラ・ジェノミスク社が塩基配列を解読したと発表、有料で公開している。今回の情報は「解析の精度が高い」(理研)うえ、理研が特定した約3万3千種類の遺伝子に関する情報を合わせて公開するなど、創薬研究に直結する内容となっている。
日本経済新聞 2002年12月5日(木曜日) 朝刊

日米欧チーム、イネゲノム解読終了
 日米欧など10カ国・地域の国際チームが進めてきたイネのゲノム(全遺伝情報)の解読作業がほぼ終わり、小泉純一郎首相が18日に解読終了を宣言する見通しとなった。ゲノムの解読は主要穀物では初めて。イネのほか遺伝子の配列が似ている小麦やトウモロコシなどの品種改良にも役立ち、食糧問題の解決に貢献すると期待される。
 国際チームは日本、米国、中国、台湾、フランス、韓国などで構成。日本は農水省所管の農業生物資源研究所が中心となって全体の約55%の解読を担当するなど、主要な役割を果たした。米国は18%、中国は10%を解読した。
 プロジェクトはイネのどの染色体のどの部分にどんな遺伝子があるか解読するのが狙いで、1999年から共同作業を続けてきた。この間、昨年初めにはスイスの大手バイオ企業が国際チームに先駆けて解読をほぼ完了したと発表、今年春にはデータを公開した。国際チームによる解読は、これに比べて精度が格段に高いのが特徴という。
 遺伝子上の“地図”が明らかになることで、穀物の品種改良は容易になる。乾燥・寒冷地帯など悪条件でも育つ品種の開発が進み食糧不足の解消に貢献するとみられる。
日本経済新聞 2002年12月5日(木曜日) 朝刊

ホヤのゲノム、京大など解析
 京都大学など日米の共同研究グループは12日、海にすむ無脊椎(せきつい)動物のホヤのゲノム(全遺伝情報)の解読を終えたと発表した。ホヤは病気に関係する遺伝子の働く時期や場所を調べやすく医薬品開発にも役立つという。13日付の米科学誌サイエンスに解読結果を掲載する。
 ゲノム解読を完了した動物はマウスなどに続き7番目。ホヤはハエや線虫など無脊椎動物と人間やマウスなど脊椎動物の間に位置するが、解析結果によると遺伝子のうち6割はハエからホヤ、人間まで共通していた。  また約17%の遺伝子はハエにはなく、人間とホヤに共通していた。ホヤには男性ホルモンや女性ホルモンに関係する遺伝子や、免疫の獲得にかかわる遺伝子がないことも分かった。
日本経済新聞 2002年12月13日(金曜日) 朝刊

不眠の悩み、酒頼み−日本人、2割が不眠に悩む
 日本人は5人に1人が不眠に悩みながら、不眠症で医師に受診する割合が極端に低く、寝る前に酒を飲む比率が最も高い。こんな日本人の睡眠障害の特徴が、ことし3月にフランスの製薬会社サノフィ・サンテラボが実施した国際睡眠疫学調査で分かった。結果の解析に参加した国立精神・神経センター精神保健研究所の内山真部長が2日、発表した。
 調査は日本やドイツ、中国など10カ国で約3万5000人に、比較しやすいよう同じ内容でアンケートした。日本では約1万人が答えた。これほど大規模な睡眠の国際調査は初めてという。
 睡眠の悩みを訴えている人は全体で25%、日本人では21%だった。その対策は「医師に受診」が欧州などを中心に、半分近くいたのに対し、日本では最下位の8%にすぎなかった。
 不眠に悩んで睡眠薬をのむ人は日本人で少なく15%。逆に、不眠を解消しようとして寝る前に酒を飲む人は、日本人が30%と1番多かった。ごく簡単で妥当な不眠解消法の「お茶やコーヒーを控える」人は日本が最も少なく、10%にとどまった。  日本では睡眠障害は各国の平均並だが、医師や睡眠薬より酒に頼る不眠対策の実態が浮かび上がった。
 内山部長は「寝酒は一時的効果があっても、夜中に目が覚め、習慣になりやすいので、やめたほうがよい。寝る前にコーヒーを控えるなど、生活の知恵を身に付けたい。睡眠薬は医師に相談して、より安全なものを選ぶのが望ましい」と話している。
日本経済新聞 2002年12月3日(火曜日) 朝刊

「長寿命と老化」―考(5)
ダイエットで寿命延長説

 カロリー制限するとネズミの寿命が三割延びたという実験がある。カロリー制限というと分かりにくいが、簡単にいえばダイエットのことだ。
 ネズミは自らダイエットすることができないので、一日の餌の量を抑える。実験結果に対して、こんな身近なことが長寿の実現につながるのかと驚かれるかもしれない。一方、老化研究の専門家の間ではダイエットと寿命に関する実験は古くて新しい話題なのだ。
 なぜ古い話題なのかというと、ネズミのほか、魚や線虫、ハエでもカロリー制限すると寿命が三割から五割延びることが昔から知られているからだ。酵母でも同様の現象が観察されており、動物全般に当てはめることができる普遍的生物現象と考えられるようになっている。
 おそらくヒトもダイエットによって寿命が延びるだろうと期待できる。米国立加齢研究所のグループが長期間カロリー制限したサルのデータを公表した。それによると、カロリー制限したサルではがんの発生率が明らかに減り、動脈硬化などの老人病の発症も少なかった。病気になりにくく寿命も延びるとなると、美容などのためにダイエットに励む現代人には朗報だ。
 それでは、どの程度のカロリー制限が寿命延長に有効なのか、そこが知りたい。度を越したダイエットは栄養失調を招くし、生命に危機を及ぼす神経性食欲不振症という病気になる恐れもある。 ヒトでは結論が出ていないが、動物実験では通常の食餌量の六割に抑えると最も良好な結果になっている。ヒトに当てはめれば二十〜三十代の男性の場合、平均摂取カロリーを一日二千五百キロカロリーとすると、千五百カロリーが目標値になる。糖尿病で入院するとこのくらいに食餌を制限して治療を始める。六割説は的外れでもなさそうだ。
 新しい話題と指摘した理由は、カロリー制限したネズミの細胞の中で起きていることを調べた米ウィスコンシン大学の研究報告にある。研究グループはカロリー制限によって寿命が延びたネズミの筋肉から遺伝子を取り出し、その働きをDNA(デオキシリボ核酸)チップと呼ぶ分析技術で調べた。
 その結果、ダイエットしたネズミでは加齢とともに増加する内因性ストレスが減少したほか、体の組織を自ら修復する力も強まっていた。この事実はダイエットをしてスリムになった人が風邪をひきにくくなったり、病気からの回復が早いことを遺伝しレベルで説明している。
 健康維持のために適度のダイエットに励むことの正しさが科学的データによって裏付けられつつある。
(東京都老人総合研究所研究室長 白澤卓二)
日本経済新聞 2002年12月1日(日曜日)朝刊

出生率1.24に低下-政府見通しより悪化
 一人の女性が生涯に生む子供の数(合計特殊出生率)は2017年に1.24と政府推進を超えて下がる。日本大学人口研究所はこんな人口推計をまとめた。晩婚・未婚化傾向が続くとみているためで、現役世代の負担で高齢者を支える公的年金財政は政府見通しより悪化する恐れが大きいとしている。
 出生率は女性の晩婚化などに伴い低下傾向が続いており、2001年に1.33の過去最高を更新した。政府は晩婚化傾向はいずれ止まり、出生率は2007年の1.31を底に上昇に転じると推計。これに対し日大人口研は晩婚化がその後も続き、出生率の低下は長期化するとしている。
 出生率が日大の推計通り下がると、厚生年金保険料は2025年には、基礎年金の国庫負担割合が三分の一の場合で月収の約31%と政府計画(27.8%)よりも3%強高い水準まで上げないと、現在の給付水準を維持できなくなる。
日本経済新聞 2002年10月29日(火曜日) 朝刊
健やかに過ごせる人生 「健康寿命」で日本が世界一
 世界保健機関(WHO)が30日発表した2002年世界保健報告によると、健やかに過ごせる人生の長さを表す「健康寿命」で日本は平均73.6歳を記録、この試算の公表を始めてから三年連続で世界一の座を維持した。WHOは日本が喫煙や高血圧に代表される健康を脅かす「十大リスク」の改善に取り組めば、あと五年程度は延ばせると勧告している。
 「健康寿命」は平均寿命から日常生活を大きく損ねる病気やけがの期間を差し引いて算出している。日本人は男性71.4歳、女性75.8歳で、いずれも三年連続でWHO加盟191カ国中のトップ。最も短いのは三年続けてシエラレオネ(26.5歳)だった。
日本経済新聞 2002年10月31日(木曜日) 朝刊
読めぬ動物の最大寿命
 最も長生きした人間は120年、ゾウも70年程度生きる。一方、実験室で飼育しているハツカネズミは3年しか生きない。体長が1ミリに過ぎない線虫に至ってはわずか三週間だ。線虫は短命なので、遺伝子操作によって寿命がどのように変化するか調べやすい。寿命を研究する専門家がよく用いている。
 ダーウィンの進化論によれば、人間もこうした下等な生物から進化してきたことになる。だとすると、進化の過程で人間が長寿命を獲得できたのは本当に不思議な話だ。どのように「長生き」の遺伝子形質を得たのだろうか。
 生物が進化するなかでゲノム(全遺伝子情報)にその秘密が温存されてきたのか、実はいまだに明らかになっていない疑問だ。今日では、ヒトのゲノムが解読されたので、遺伝子レベルで進化の秘密が解き明かされるかもしれない。動物の寿命に関しては、遺伝子が解明される以前からいくつかの学説が存在していた。まず、骨の成長に要する期間の六倍が寿命だという生物学的ルールを唱える古い学説があったという。この説を犬に当てはめてみよう。犬は骨の成長に二年半を要するので、寿命はその六倍の15年になる。
 人間の場合は、骨の成長、つまり身長の伸びが停止するのが20歳前後なので、本来のヒトの寿命はその六倍の120歳になる。偶然にもこの値は人間の最大寿命と一致するようだ。しかし、この単純すぎる学説は理解しやすいものの、残念ながら科学的に証明されなかった。  ほかには、動物の寿命、特に雌の寿命は生殖可能な時期が終了してしまってから子供が一人前に育つまでに必要な期間を加えた年数であるとする学説がある。次の世代が巣立ったら、自分自身は子孫に生息場所を提供するために消えていくという生物学的原則を考えると、理屈にかなった学説だ。
 この学説を人間に当てはめると、生殖可能な時期の終了とは閉経を意味する。およそ50歳で閉経し子供の成長に20年必要と考えると、人間の寿命は70歳ということになる。
 寿命が70歳というのはひと昔前だったら説得力があっただろうが、今日では明らかに短すぎる。しかし、多くの動物がこの学説に当てはまるのも事実だ。
 そうすると、人間はこの説を逸脱してしまった例外的な動物なのだろうか。人間だけが文明を持つようになったからだろうか。
 疑問は尽きないが、結局、これまでのどのような生物学的なルールを応用しても、今のところそれぞれの動物の最大寿命を予測することはできないようだ。
日本経済新聞 2002年11月10日(日曜日)朝刊 「長寿と老化」2
生活習慣病になりやすい人
ウエスト÷身長=0.5以上
医師らが新指標考案

ウエストの数値を身長で割った値が0.5以上なら動脈硬化になる危険が高い―。虎の門病院(東京・港)や独協医科大学などのグループが、生活習慣病になりやすさを見分けるこんな指標を考案した。他の指標に比べ計算が簡単で、高コレステロールや中性脂肪が高い人を検出しやすいという。
同病院の謝勲東医師、独協医科大学の武藤孝司教授らが考案した。人間ドッグを受けた約6000人のデータを分析したところ、従来の指標で肥満と判定されず生活習慣病になりにくいとされる人でも、新しい指標が0.5以上の場合は「糖尿病などの生活習慣病につながる危険因子が高い」(謝医師)ことが分かった。
現在、指標としては、体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で割った体格指標(BMI)がある。男女とも22が指標で、25以上が肥満に分類される。この指標は、生活習慣病を招きやすい内蔵周辺に脂肪がつく「かくれ肥満」を見逃す可能性があるといわれている。
日本経済新聞 2002年11月1日(金)朝刊
子供のぜんそく
大気汚染との関連性低く

全国23都道府県の35地域で、ぜんそくなど子供の呼吸器障害と大気汚染濃度の関連性を調べたところ、汚染濃度の高低による有症率の変化はなかったことが21日、環境省の2000年度の調査で分かった。母親が喫煙する場合は約1.3倍、本人にアレルギーがある場合は有症率が約2.2倍に達した。
同省は、1996年度から、大気汚染の影響を受けやすく喫煙など別の因子がない3歳児を対象に調査を実施。今回は約8万1000人の保護者に調査票を配布、約6万8000人から回答を得た。
調査では、全国に整備している一般大気測定局で大気汚染物質(二酸化窒素、浮遊粒子状物質など)の97〜99年の3年分の年平均値を割り出し、有症率と比較。有症率は前年とほぼ同じの3.53%で、汚染濃度の高低による有症率の変化もほとんどなかった。
同省は、「濃度は平均値で、交通量が多い道路沿線など濃度が高い場所では個別の調査が必要。現在、調査手法を検討している」と説明している。
日本経済新聞 2002年10月22日(火)朝刊
心の健康学
風邪とストレス、強い因果関係

十年くらい前になるが、世界でもトップクラスの医学雑誌が一ページを使って、公園のベンチに独り寂しそうに座っている老人の写真を掲載した。難しい医学論文ばかり載っている雑誌に似つかわしくない写真に驚いた読者も少なくなかった。この写真は、独り暮らし老人に代表されるように、強いストレスを感じている人は風邪を引きやすいという米国での研究成果を象徴的に表現していた。
研究は約四百人の参加を仰いで行われた大規模なものだった。まず参加者に一緒に生活してもらって、各人のストレス度が調べられ、そのうえで、全参加者の鼻の粘膜に同じ濃度の風邪のウイルスが塗りつけられた。風邪のウイルスを塗りつけるというと乱暴なようだが、身体の抵抗力の強さを調べるには同じ条件で風邪のウイルスにさらす必要があるからやむを得ない。
その結果、ストレスを強く感じていた人ほど風邪にかかる割合が高く、それらがきれいな比例関係にあることがわかった。風邪にかかったことを示す免疫の抗体の値も、ストレスの程度に比例して上昇していた。
精神的な反応と身体的な反応が免疫の働きを介して同時に起きていることを示す重要な成果だった。
その後、免疫の働きと精神状態の関係の研究が分子レベルで盛んにされるようになった。例えば私たちの研究によって、うつ病にかかっているときと回復したときとでは、免疫の働きが明らかに変化することがわかってきた。
以前に私たちがある企業で行った研究では、ストレスがたまっていると答えた人ほど風邪などの体調不良で会社を休む割合が高かったが、これも免疫の働きが関係していたのだろう。心の健康は身体の健康と決して切り離して考えることはできない。
(慶応義塾大学保険管理センター教授 大野 裕)
日本経済新聞 2002年10月16日(水)夕刊
75歳以上の人口、初の1000万人突破・総務省
 総務省が「敬老の日」にちなんで発表した15日現在の65歳以上の高齢者人口(推計値)は2362万人で前年比78万人増えた。総人口の18.5%(同0.5ポイント上昇)を占め、人数、比率ともに過去最高を更新した。中でも75歳以上の人口が1003万人(同51万人増)と、初めて1000万人を超えた。
 高齢者人口を男女別にみると、女性が1367万人、男性は995万人。男性は6人に1人、女性は5人に1人が高齢者となった。女性100人に対し男性73人の比率だが、85歳以上では百対40と差が開く。
 都道府県別では、高齢者人口の割合が最も高いのは2000年時点で島根の24.8%。高知(23.6%)、秋田(23.5%)が続き、長生きかどうかよりも若年者の流出が多いかどうかが影響している。
 高齢者人口の比率を諸外国と比べると、日本は高齢化が進んでいるイタリア(18.2%)やイギリス(15.6%)を上回る最高水準。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、高齢者人口は今後も増加傾向が続き、2015年には総人口の26%に当たる3277万人に達する見込みだ。
日本経済新聞 平成14年9月15日(日) 朝刊
禁煙対策のサポートは、医師の責務との認識を
 「わが国における妊産婦の喫煙・飲酒の実態と母子への健康影響に関する疫学的研究」と題する厚生科学研究の13年度研究報告書が本年3月にまとめられた。妊婦が喫煙すると、喫煙しない場合に比べ低出生体重、早産、周産期死亡、妊娠・分娩合併症、自然流産などのリスクが1.5〜2.0倍高まるとされている中で、今若い女性の喫煙率が上昇を続けている。また妊娠中の過度の飲酒は、時には胎児性アルコール症候群を引き起こすことも知られている。しかしわが国では、妊産婦の喫煙・飲酒実態に関する全国調査に基づくデータはないという。そこでこの研究では、全国規模で妊産婦の喫煙・飲酒行動および関連要因を疫学的に明らかにし、健康教育の推進を含めた今後の政策立案に資するための科学的根拠を確立することを目的としている。
 調査は日本産婦人科医会の調査定点から抽出した500カ所の産科医療機関のうち調査協力が得られた全国260カ所で実施。対象者は“妊娠の確定した再診の妊婦”としている。得られた回答数は1万6528で、すべてを有効回答として解析の対象としている。
 妊娠前喫煙率は25.7%で、妊娠が分かってからの喫煙率は9.9%。喫煙者の6割は妊娠を機に禁煙していた。妊娠中喫煙者もその84%は妊娠前に比べ喫煙本数を減らしており、約97%は禁煙、節煙の意志を表していた。回答者の約3分の2は、日常的に受動喫煙しており、その場合の喫煙者は8割が夫であった。回答者の9割以上が妊婦の喫煙あるいは受動喫煙が胎児にとって害があることを知っていると回答している。
 こうしてみると喫煙・受動喫煙による健康被害についての基本認識はある程度普及しているものの、妊産婦に限らず一般喫煙者の中には、潔く禁煙に踏み切れない者、またその意志を持てない者がかなり存在するというのが現実のようである。このことは情報伝達主体の支援によって、行動変容を導く方法論に限界があることを示すもの、と分析している。
 なお、妊産婦の飲酒についてはここでは省略するが、本人および周囲の人々の妊娠中における飲酒に対する姿勢は、喫煙に対するものとはかなり異なり、禁酒・節酒の意思は喫煙の場合よりは弱いことが分かった。
 本報告書は結論において、「禁煙、禁酒とも保健医療従事者の働きかけは少なく、医療機関・行政による支援が未だ不十分である実態が明らかになった」としている。こうした指摘を受けたからには、我々は、今後より一層奮起して、責務を果たすべく努力していかねばなるまい。
 折しも大阪府医師会では日本医師会と並行して、来る10月10日に「医師とたばこ」の著者・デビット・シンプソン氏を招いて“医師・医師会はいま何をなすべきか”をテーマに講演会を開催する予定である。関係者の多数の参加を期待したい。
大阪府医ニュース 第2266号 平成14年9月18日 
人間ドック受信者など調査
健康「異常なし」わずか7人に1人

 働き盛りの日本人の健康状態は年々悪化し、肝臓や血糖値、肥満などの検査項目に異常がない健康な人の割合は14.5%、7人に1人しかいないことが、日本病院会予防医学委員会の調査で27日、明らかになった。
 昨年、全国で成人健診や人間ドックを受診した約276万人の検査結果のうち、生活習慣病とかかわりが深い6項目の分析で、1984年の調査開始以来、最悪の数値。長野市で29日始まる人間ドック学会で発表する。
 集計した笹森典雄委員は「不況など社会変化によるストレスも原因ではないか」と分析している。受診判定で「異常なし」とされた人の割合は84年の29.8%から下がり続け、2001年は前年より0.3ポイント低下した。
 地域別で「異常なし」の割合が全国平均を上回ったのは17.5%の東北を筆頭に中国・四国と関東・甲信越。84年には半分近くを占めていた北海道、近畿などほとんどの地域で落ち込みが続いており、同委員会は「外食やコンビニを利用する機会が増えて食生活が均一化し、地域差が縮小した」と分析している。
 項目別の異常は、肝機能異常が26.6%と最も多く、特に男性では3分の1の32.3%に達した。次いで高コレステロール、肥満、高中性脂肪、高血圧、高血糖(耐糖能異常)の順で、コレステロール以外ではいずれも男性の異常率が高かった。
日本経済新聞 平成14年8月28日(水)朝刊 
日本の総人口1億2647万人 総務省調査
増加率、最低の0.15%

 総務省は30日、2002年3月末時点の住民基本台帳に基づく人口調査の結果を発表した。総人口は1億2647万8672人で、前年同期比19万3867人(0.15%)増えた。ただ、増加数・増加率ともに1968年の調査開始以来、最も低い水準で、2001年度の出生者数も117万1320人と過去最少を更新した。
 2001年度の自然増加数(出生者数から死亡者数を差し引いた数)は、過去最少の20万1964人。死亡者数は過去最多の96万9356人だった。
 年代別では、15歳未満の年少人口は1811万9254人で、前年3月末に比べて0.17%減。労働力の主な担い手となる15歳から65歳未満の生産年齢人口も、8527万6195人で、同0.38%減った。65歳以上の老年人口は同0.56%増の2308万3204人で、少子高齢化が一段と進んでいる。
 調査開始以来減少が続いている1世帯当たり平均人数は、2.6人と過去最低を更新。一方、世帯数は同1.3%増の4801万5251世帯と調査開始時点に比べて約8割増え、核家族化の進行を裏付けた。
 全国の男性は6197万1305人、女性は6450万7367人だった。
日本経済新聞 平成14年8月31日(土)朝刊
たばこ1箱1000円、喫煙者6割減少
値上げ効果厚労省試算、税収1兆円増

 たばこが1箱300円に値上げされると喫煙者の1割強がたばこをやめ、千円に値上げすると6割強が禁煙するという調査結果を3日までに、厚生労働省の研究班がまとめた。
 千円に値上げすると、肺がん患者の減少による医療費削減に加え、税収増も一兆円を越え、一石二鳥の効果が期待できるという。
調査は医療経済研究機構(東京)の油谷由美子主任研究員が中心となり、昨年11〜12月、全国の20歳以上の喫煙者2420人を対象に調査を実施、2105人(87.0%)から回答を得た。回答者の8割は男性で、全国の喫煙者の男女比はほぼ同じ。
 たばこは現在、一箱250円が主流だが、値上げされた場合「たばこをやめる」と答えたのは、価格が300円では342人(16.2%)、1000円では1329人(63.1%)で、喫煙者は4割になるという。1000円になっても「同じように吸う」人も4%いた。
 さらに同機構は1999年度のデータを基に、喫煙の影響で102400人が亡くなっていると概算。こうした肺がんの治療費などで約1兆3086億円の医療費が余計に支出されており、国民医療費の4.2%を占めているとはじいた。
 こうした医療費は300円への値上げの影響で死亡者は85000人に減り、医療費は約2100億円減るという。1000円では死亡者は約37000人となり、医療費は約三分の一に削減され、4800億円になる見込み。
 これに対して現在約2兆2800億円の税収は300円への値上げではわずかに減少するものの、1000円では1兆円余りそれぞれ増えるという。
日本経済新聞 平成14年9月3日(火)夕刊

「カビ」と病・考
 最近、洗濯機に生えるカビが社会問題になっている。洗濯のたびに多量の胞子が洗濯槽に流れ出し、洗濯物に付着、それが体内に入って健康に害が出るのではないか、と心配されているからだ。
 私たちは以前、浴槽水を含め浴室のカビの種類を調べたことがある。家庭の風呂と洗い場、浴室の下水管、壁、天井などにどんな種類のカビがいるか研究した。その結果、家庭の水回りにはカビの一グループである黒色酵母、いわゆる「黒カビ」の生態系が形成されていることが分かった。
 黒色酵母に属するカビは水分を好み、洗剤やせっけんなどのアルカリ性に耐性がある点で共通する。しかし、温度の好みは違うので、それに応じてすみ分けしていた。
 セ氏四十二度以上になるお風呂場のお湯にいたのは病原性を持つカビ、エクソフィアラ・デルマチチジス。それより温度が下がる洗い場では別種のカビ、モニリアエが、さらに水が冷える下水管の裏ぶたには、さらに別種の黒カビがたくさん増殖していた。
 湿っている浴室の壁や天井、カーテンには、糸状に発育する種類のクラドスポリウムやアウレロバシジウム、アルテルナリヤなどが見られた。洗濯機にいるのも同様の種類で、吸い込んでアレルギーを起こす可能性はあるが、人には感染しないので重い健康被害を心配する必要はない。
 こうした様々なカビの中で、私たちが追い求めていたのが当時、専門家の間で論争の的となっていた病原性を持つカビ、エクソフィアラ・デルマチチジスだった。患者数は少ないとはいえ、感染すると内蔵や脳を侵し非常に重い症状になる。だが、自然界でどのような場所に生息しているのかはっきりしなかった。
 それがある日、東京都内の大学病院の教授から送られてきたカビの試料がきっかけで、有力な手掛かりが得られた。
その教授が担当する患者はかなりひどいぜんそくで、自宅で加湿器をつけると症状が悪化すると患者は訴えた。加湿器の吹き出し口にいたカビを取ったので、ぜんそくに関係するのか調べてほしいということだった。
 顕微鏡で見ると、その中にエクソフィアラ・デルマチチジスがいた。そこで私たちは加湿器と似た環境にある家庭の水回りを調べて、風呂のお湯の中で見つけ出したのだった。
 風呂での感染といえばレジオネラという細菌の事例が知られるが、エクソフィアラ・デルマチチジスによる国内症例は二十数例が報告されているだけ。健康な人は心配する必要はない。ただ、病気で体が弱った人がいる家庭では風呂や加湿器などを清潔に保って、カビや細菌の増殖を十分防ぐ必要がある。
(千葉大学教授 宮治 誠)
日本経済新聞 平成14年8月25日(日)朝刊

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