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インフルエンザ、たんの薬が効果
徳島大学教授が確認

 たんの出をよくするため一般的に使われている薬に、インフルエンザウイルスの感染、増殖を抑制する働きがあることを、徳島大医学部の木戸博教授(酵素分子化学)が19日までにマウスの実験で確認した。近く英国の呼吸器学会誌に論文が掲載される。
 ウイルスに直接作用する薬剤と併用することで、インフルエンザの重症化を防ぐ効果が期待される。
木戸教授は、たんに出をよくする塩酸アンブロキソールという薬を服用した患者が、インフルエンザにかかっても症状が軽いという医師の報告に着目。インフルエンザに感染したマウスにこの薬を投与し、投与しないマウスと比較した。
 その結果、投与しないマウスは9日ですべて死んだが、投与したマウスは10日後に半分が生存した。
日本経済新聞 平成13年12月19日(水)夕刊

成人にも有害な受動喫煙
喘息、COPD、肺癌などのリスク高める

〔独ベルリン〕受動喫煙は小児喘息の原因となることが知られているが、第11回肺疾患学会(欧州呼吸器学会主催)では、今までの研究や、重篤な呼吸器疾患である慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺癌などのリスクを高めることを明確にする疫学研究が多数発表された。
◇女性は影響を受けやすい
 フィンランド国立職業保健研究所(フィンランド・ヘルシンキ)のMaritta Jaakola博士は、受動喫煙の成人喘息などへの影響を証明するデータを紹介した。同博士らは、南フィンランドに住む718例の非喫煙者を調べた。そのうち231例は過去2年半以内に喘息と診断された患者、残り487例を対照群とした。職場でたばこの煙に曝露されている人は、そうでない人より喘息発症リスクが2.16倍高く、また配偶者が喫煙する場合、そのリスクは4.77倍になることが判明した。同博士は「この研究結果は成人喘息の発症に受動喫煙が影響していることを明確に証明している」と述べた。
 他の研究でも、喫煙者は男性が多いためか、女性は受動喫煙によるリスクにさらされているという。臨床生理学研究所(伊ピサ)のSandra Balducci博士らがイタリア各地の非喫煙者女性2,335例を調査したところ、47%が前の週に受動喫煙にさらされたと答えた。これまでの受動喫煙の63%は家庭で、43%が職場でのものだという。同博士によると、夫が喫煙者の場合はそのリスクを倍増させる。また、家庭と職場の両方で受動喫煙にさらされている場合はそうでない女性に比べて、これらの疾患リスクは2.8〜4.2倍高いことが明らかになった。
 放射線衛生研究所(独ミュンヘン)のH. Erich Wichmann博士は、女性肺癌患者の20〜30%を占めると言われている非喫煙者234例と生涯に400本以下の喫煙女性535例とを比較検討した。
 その結果、職場での受動喫煙は間違いなく肺癌のリスクファクターであることが明らかになった。一方、夫の喫煙と肺癌発症との相関性についてはそれほど明確ではない。夫により7万6000時間以上受動喫煙にさらされている女性の肺癌リスクは1.67倍上昇し、職場で4万時間以上受動喫煙にさらされている女性のリスクは2.67倍上昇していた。
◇地域により被害程度に差
 同学会では欧州16か国36施設での調査をまとめた欧州共同体呼吸器保健調査の結果も初めて報告され、受動喫煙についての調査結果がウプサラ大学生物工学センター(スウェーデン・ウプサラ)のChrister Janssen博士により紹介された。36施設のうち12施設では被験者の半数が日常的に受動喫煙に曝露されていたが、地域による差が大きく、ウプサラではわずか2%であるのに対し、スペインのガルダカオでは54%であった。
 受動喫煙者は労作性呼吸困難や過剰な気管支反応などの症状を有するものが多く、同博士は「特に職場などの環境からたばこの煙を減少させることが呼吸器の健康増進につながるだろう」と結論している。
Medical Tribune VOL. 34 NO. 43 2001年10月25日

妊娠中たばこ多いと…
出生児の身長・体重低下

 妊娠中の母親の喫煙本数が多いほど、出生児の赤ちゃんの体重や身長が低下する傾向にあることが、厚生労働省が24日に発表した「2000年乳幼児身体発育調査」で分かった。妊婦の喫煙率は1割に達し、特に10代では3割を超えていた。全体として出生時の赤ちゃんのスマート化は続いているものの、同省は「タバコが出産に与える影響がかなり明らかになった。注意喚起していきたい」としている。
 調査は1950年以来、10年ごとに実施。2000年の調査では小学校入学前までの乳幼児のうち全国から抽出した1万21人と、2000年9月中に病院で生後1カ月健診を受けた4094人の計1万4115人の出生時の状況をまとめた。
 全体では、出生時の平均体重は男児が3.04キロ(10年前の前回比110グラム減)、女児は2.96キロ(同100グラム減)。平均身長は男児が49.0センチ(同6ミリ減)、女児が48.4センチ(同5ミリ減)で、体重は男女とも80年、身長は男児が70年、女児が60年の調査をピークに減少を続ける傾向は変わらなかった。
 同省は「妊娠中毒症の防止のため体重を抑制するケースや、医療技術の向上で未熟児が増加するなど総合的な要因が関係しているのでは」と分析している。
 今回は前回に続き、喫煙と身長、体重の関係について調査。全国から抽出した1万21人の乳幼児の母親のうち、「喫煙している」と答えたのは1005人で、前回調査より4.4ポイント増えて10.0%で、タバコを吸う妊婦が増えている実態が明らかになった。  喫煙本数別に見ると、たばこを吸っていない母親から生まれた女児の平均体重が3.02キロだったのに対し、母親がたばこを数ケースでは、1日1,2本吸っていると2.99キロ、3-5本では2.95キロ、6-10本では2.91キロ、11本以上では2.90キロだった。
 身長もたばこを吸っていない母親から生まれた女児が48.8センチだったのに対し、母親がたばこを吸っていると、48.2-48.6センチで、身長、体重とも喫煙本数に応じて低下する傾向があった。
男児でも母親がたばこを吸っていない場合、平均体重が3.1キロだったのに対し、母親がたばこを吸っていると、3.03-2.97キロ。平均身長もたばこを吸っていない場合は49.3センチだったのに対し、たばこを吸っていると49.1-48.4センチで、女児と同じ傾向があった。
 調査では初めて飲酒との関係も調査。飲酒している妊婦は18.1%で年齢とともに飲酒率が増加する傾向があったが、生まれてくる子供の体重や身長に対する影響は見られなかった。
日本経済新聞 2001年(平成13年)10月25日木曜日 朝刊

昔は小学校卒業時には完治
小児喘息治りにくく
大気汚染が原因か南福岡病院分析結果
小学校を卒業するころには多くは自然に治るとされていた小児ぜんそくが、小学校高学年になっても治りにくくなっている――。国立療養所南福岡病院(福岡市)の小田嶋博小児科医長らの研究グループが過去の疫学調査を分析、こんな実態を明らかにした。大気汚染など生活環境の変化が背景にあるとみられている。
研究グループは、1974-90年に大阪府や旧環境庁がそれぞれ実施した小児ぜんそくに関する三種類の大規模な疫学調査の結果を分析。31日まで福岡市で開いた日本アレルギー学会で発表した。
小児ぜんそくの児童の割合が学年によってどう違うかを調べたところ、男児の場合74年時点では一年生の3%弱に対し六年生は約1%だったが、90年では一年生約5%、六年生5%強とほぼ同じ水準だった。
女児は74年時点で一年生約3%、六年生が約4%と学年が上がるにつれ割合が高くなっていた。
これまで、小児ぜんそくはほとんどが四歳ころまでに発病し、小学校高学年になると自然に治ることが多いとされてきた。
小田嶋博医長は「小児ぜんそくは治りにくくなり、小学校に入ってから発病する例も増えているのではないか」と指摘。はっきりした理由は不明だが、ディーゼル車の排ガス中の微粒子による大気汚染や、室内のホルムアルデヒドなど化学物質による汚染、ダニ繁殖の温床になるカーペット使用の増加を可能性として挙げている。同医長によると、ぜんそく治療薬の開発が進んだことで、発作をやわらげることはできるようになってきたが、完全によくなる率は減っているという。
調査ではまた、親がぜんそく患者の場合、子供のぜんそくの発病率が高く、特に母親がぜんそくの場合に発病率が高くなることも分かった。
日本経済新聞 平成13年11月1日(木)朝刊

ディーゼル車排ガス、ダニアレルギー悪化
国環研、動物実験で確認

国立環境研究所(茨城県つくば市)と大分県立看護科学大学の研究グループは、ディーゼル車の排ガスがダニアレルギーを悪化させることを動物実験で確かめた。
ニアレルギーをおこしやすい体質のネズミは、ダニの破片などと一緒にディーゼル排気粒子(DEP)を吸い込むと、ダニだけを吸った場合と比べて気管支喘息が悪化した。
アレルギーを引き起こすといわれるコナヒョウダニのエキス1マイクロ(マイクロは百万分の一)グラムに、ディーゼルエンジンの排気から集めたDEP50マイクログラムを混ぜ、ぜんそく持ちのネズミの気道に2週間間隔で4回にわたって注入。ダニエキスだけを注入したぜんそくネズミと比較した。
その結果、アレルギー反応の指標となる血中の物質IgG1が、DEPを吸い込んだ場合はダニエキスだけのときよりも約10倍多くなることを確認した。また気道表面の細胞の粘液の分泌も増えていた。大分看科大の市瀬孝道教授は「DEPが、ダニによるアレルギー反応を強めていると考えられる」と話している。研究グループはDEPがダニが引き起こすアトピー性皮膚炎にも影響を及ぼしているとみて今後は皮膚炎との関係も調べる。
ディーゼル車の排ガスは花粉症を悪化させるともいわれている。環境省は今年3月、自動車窒素酸化物法(自動車NOx法)を改正し、来年度からはディーゼル車が排出する粒子状物質(PM)を規制対象に加える。
日本経済新聞 平成13年10月29日(月)朝刊

高齢者 最高の2272万人 65歳以上 総人口の17.9%
 「敬老の日」にちなみ総務省が14日発表した統計調査によると、65歳以上の高齢者は、昨年より82万人増えて2272万人(15日現在推計)で、総人口の17.9%を占め、人数、割合とも過去最高を更新した。国民の5.6人に1人が65歳以上ということになる。
 諸外国に最も新しいデータと比べても、65歳以上の割合が17.7%のイタリア、17.3%のスウェーデンを抜いて主要国の中で最高水準となった。
 国立社会保障・人口問題研究所は、65歳以上の人口は今後も増加が続いて2015年には現在の1.4倍の3188万人にのぼると推計。4人に1人が65歳以上になると見込んでいる。
 昨年の高齢者の就業状況をみると、65歳以上で働いているか、働く意欲を持っている人は、22.6%の493万人(完全失業者を含む)。緩やかな低下傾向にあるが、米国の12.8%、カナダ6.2%、イタリア3.6%など欧米諸国に比べて依然として際立っている。
AZWELLメディカルトピックス No.61 平成13年9月27日

100歳以上、1万5000人突破
 全国の100歳以上の高齢者が1万5000人を突破し、31年連続で過去最高を更新したことが11日、厚生労働省が発表した全国高齢者名簿(長寿番付)でわかった。19世紀後半生まれで「3つめの世紀を迎えた人」も1万67万人と1万人を超えていた。調査を開始した1963年(153人)から38年で100倍を超すなど、高齢社会の進展ぶりを映し出した。
 長寿番付は9月30日までに100歳以上になる人を同月1日現在で集計。総数は昨年より2439人増えて1万5475人で、うち100歳以上が6693人。男女別では女性が1万2934人で83.5%を占めた。
 長寿日本一は今月16日に114歳になる鹿児島市の女性、本郷かまとさんで、3年連続。男性の最高齢は福岡県小郡市に住む112歳の中願寺雄吉さんで2年連続。
 人口10万人あたりの100歳以上の高齢者数は九州、四国、中国地方の比率が多く、西高東低の傾向は変わらず、全国平均は12.19人。都道府県別では、沖縄が34.67人で都道府県別に調査を始めて以来、12年連続でトップで、島根(31.18人)、高知(28.62人)と続いた。最も少ないのは埼玉(5.84人)だった。
AZWELLメディカルトピックス No.61 平成13年9月27日

喫煙習慣の芽は若年期に強力に摘み取ろう
 たばこは「麻薬」であり、決して嗜好品ではない。米国FDAは1996年、ニコチンは「麻薬」であり、たばこはニコチンの注射器であると断定した。
 喫煙は肺がん、閉塞性肺疾患(COPD)など多くの疾患の最大の危険因子である。肺がんやCOPDは、喫煙開始年齢が若年であるほど予後が悪く進行しやすい。
 WHOによると、世界のたばこ関連死は8秒に1人であり、ほぼ同数の新喫煙者ができている。米国のたばこ産業は巨大な多国籍企業として発展途上国へ進出し、たばこのイメージをカッコいい、オシャレ、美しく豊かさのシンボルの幻想を植え付けて、巧妙に消費を増やしている。
 たばこの広告規制の少ない日本では、多くの人達はたばこの恐るべき害をよく理解していない。特に若年者は理解できないまま、美化されたたばこ像の魔力に捕まっているのが現状である。米国のたばこも日本に入れば、喫煙は危険だと書かれたケースの警告文はなくなり、吸い過ぎなければ安全であると誤解される文言となっている。
 日本社会の現状は、未成年を含めて喫煙が自由にでき、たばこの弊害が認識されず、誰でも簡単に喫煙習慣がつく環境である。その発端は、驚くほどの安値でたばこ自動販売機から子供が簡単に買えることである。たばこ税を高くすることが、若年者の喫煙習慣を抑える対策として、具体的で最も実効性のある方法と認められている。基本は、行政が真剣に国民の健康被害の撲滅に努め、若年者から喫煙環境を遠ざけることである。
 日本医師会では禁煙運動の推進を表明し、実際の活動に動き出した。各地の医師会も率先して、医療機関の禁煙・分煙化の徹底を図り、また学校職員を啓発し、若年者の禁煙指導の推進を図るべきである。医師や医療機関は、米国・カナダの禁煙対策の取り組みにならって、全館禁煙化・完全分煙化に努力する責務がある。
 日本の禁煙対策は先進国の中では最も遅れている。政府のたばこ寄りの姿勢が禁煙対策の遅々として進まない大きな原因である。日本男性の喫煙率は50%以上であり、また一人当たりのたばこ消費量も諸外国に比し遥かに多い。たばこに依存しない国家財政、国民環境を真剣に確立すべきである。
結核予防会大阪府支部相談診療所顧問  桑原 修
大阪府医ニュース 2001年9月19日 第2222号

コルチコステロイドは胎児の成長に影響しない
〜喘息患者の妊娠〜

 〔シカゴ〕喘息の女性が妊娠すると、症状が悪化する傾向があるが、コルチコステロイドを服用しても低体重児出産率は7%で、胎児の成長に悪影響は認められないとする研究成績が、当地で開かれた第3回世界喘息会議で報告された。
 カイザー・パーマネンテ医療センター(カリフォルニア州サンディエゴ)のMichael Schatz博士らは、569例の喘息患者の妊娠に影響を及ぼした要因について検討した。その結果、191例(33.6%)は妊娠中に喘息が改善したが、206例(36.2%)は悪化したことがわかった。21例(3.7%)は転帰が不明であった。一方、分娩後には116例は喘息が改善したが、165例は悪化したと回答した。
 同博士によると、妊娠中の転帰の良否には相関する特定のパラメータがあった。例えば、鼻炎が改善した場合、94.7%の女性で喘息も改善したが、鼻炎が悪化すると、80.5%の女性で喘息も悪化した。また、初産婦は経産婦よりも喘息が改善することが多かった。第1子以上をもうけていた女性で症状が改善したのは34.5%であった。
 冬季の出産も否定的因子で、71.9%で喘息が悪化した。冬季以外の季節では、喘息の悪化は55.4%であった。妊娠期間が短い患者では平均重症度スコアも悪かったが、母体年齢、胎児の性別、心理的因子、喫煙歴、母親あるいは胎児の体重などには有意な関連性はなかった。
 同博士らの報告では、出生児体重の判明している単児出産280例について、妊娠中のコルチコステロイドの使用を調査した。母親はベクロメタゾン、フルチカゾン、トリアムシノロン、ブデソニドなどを使用しており、在胎期間を考慮した低体重児の出生率は7%であったが、予測出生率は10%であった。また、妊娠中のコルチコステロイドの総使用量と児の平均出生時体重との間には有意な関連はなかった。経口コルチコステロイド投与の母親から生まれた乳児では、そうでない乳児に比べ在胎期間を考慮すると体重が少ない傾向があり、救急室を受診することが多かった。しかし、統計学的有意差はなかった。
 この研究は、アレルギー専門医から吸入コルチコステロイドで治療された喘息の母親から生まれた児のうち、在胎期間の割に小さい乳児は10%未満であることから、妊娠中に吸入コルチコステロイドを使用しても胎児の成長に影響はないことを示唆している。
Medical Tribune 2001年8月16楠

医療再生-読者から
 医師の評価が行われない理由は、人手不足にある。押し寄せる患者をすくない人数で対応し、当直業務もこなすため、質は後回しになる。評価をして、良くない人材を排除したくても、「いないよりはまし」という考えが根底にある。
 新人はベテランに教わりながら育つのが理想だが、医師不足では、経験がなくても一人前の仕事をさせる。ベテラン医師が同じ外来で自分の診察を新人に見せながら二人で行うことは、ほとんどない。日本の医療は質を犠牲にして量に対応してきた歴史がある。増え続ける量に対応する人的資源を増やさず、お金も使わずに最良の質を確保せよというのは無理な話だ。(栃木県、61歳、男性、公的病院副院長)
 日本の医療水準はそれほど低いだろうか。世界保健機関(WHO)が平均余命の長さと乳幼児死亡率の低さからみた国際比較では、日本はトップという。しかも医療費の国内総生産(GDP)比は先進国中、一番少ない。病症あたりの医師の数も米国の五分の一程度だ。
 「三時間待ちの三分診療」など、医療への患者の不満を解決させる方法は、米国並みに医療スタッフを増やし、医療費も今の倍以上にすること。私の外来には一日平均40人訪れるが、一人に10分かけると6時間以上かかるうえ、入院患者も診なければいけない。二十四時間働けというのか。(滋賀県、29歳、男性、内科医)
 一般に医師は高給というイメージがあるが、大学病院には、非常勤扱いで年収300万円足らずの中堅医師や、ほとんど無給で休日もない医師がいる。
 脳外科医は6年間経験を積んだ後、専門医の資格を取っても一切収入は増えない。手術に失敗すれば何千万円もの賠償金。米国では脳外科医や心臓外科医は訴訟も多いが、その分、一番の高収入を得ている。
 同じ給料なら、もっと楽で危険の少ない科に移る医者が増え、第一線の脳外科医の労働環境をさらに悪化させている。現在の制度では優秀な外科医が減るのは必然だ。(東京都、37歳、男性、脳外科医)
 「どの病院が良いか」だけでなく、「どの医師が良いか」についての情報公開を進めるべきだ。病院の医師の多くは、大学病院の医局から教授の指示で“派遣”され、数年ごとに転勤を繰り返すからだ。
 以前勤めていた病院では、医局から派遣されてきた眼科医が優秀で「この病院の眼科はいい」と評判になった。後任の医師は不器用だったが、病院の評判で多くの患者が来ていた。
 医師を評価する情報公開が進まないと、大学の医局制度が温存され、腕のいい医師が報われない。裏返せば、悪い医師でもいい待遇を受けられる状態が続いてしまう。(埼玉県、45歳、男性、開業医)
 現在、米国の医療機関で臨床研修中だ。医学教育などの点で日本が学ぶ点は多い。教える側も教わる側も評価される緊張感の中で、好奇心、向学心がかき立てられる。客観的に診断や治療を評価する点もすばらしい。
 しかし、米国の患者が日本の患者より幸せだとは必ずしも思わない。医療の均一化を求める米国のシステムには、患者の状態によらず画一的な治療しかできないデメリットもある。
 日本は非効率的だが、米国より人間的な医療が出来る環境がある気がしてならない。医療再生には、米国の良い点を取り入れ、日本の良い点を残す努力の両方が必要だ。(米オレゴン州、32歳、男性、内科医)
日本経済新聞 平成13年8月18日(土)

総コレステロール値は減少傾向〜第5次循環器疾患基礎調査〜
 10年ごとに行われている「循環器疾患基礎調査」の第5次調査が昨年11月に国民栄養調査と同時に実施され、東京で開かれた第33回日本動脈硬化学会(会長=茨城キリスト教大学・板倉弘重教授)の開催前日に厚生労働省から公表されたが、その結果の詳細を同調査企画・解析検討会の座長を務めた国立健康・栄養研究所の田中平三理事長が報告した。
 解析対象者数は、全国の30歳以上の8,369例(男性3,854例、女性4,515例)。血清総コレステロール(TC)の平均値は30歳代は男性195.8mg/dL、女性180.9 mg/dL、40歳代はそれぞれ202.9mg/dL、193.9mg/dL、50歳代は198.6mg/dL、212.5mg/dL、60歳代は195.0mg/dL、212.3mg/dL、70歳以上は182.9mg/dL、206.0mg/dLで、女性は若いときには男性より低いものの、50歳以上では逆に男性より高かった。
 平均血清TC値の推移を見ると、1980年以降、男女とも毎年約1mg/dLの増加傾向にあったのが、90年から2000年にかけては、男性では横ばいまたは減少傾向になっており、女性では男性に比べて減少傾向が顕著であった。田中理事長は「これが今回の調査で最も特徴的なことだ」と指摘した。
 現行の日本動脈硬化学会ガイドラインで高脂血症の境界域とされている血清TC値200〜219mg/dLの者の割合は男性で22.5%、女性で21.8%、高脂血症である220mg/dL以上の者はそれぞれ25.7%、34.1%であった。過去10年で30歳代男性で220mg/dL以上の割合が22.8%から25.6%に、40歳代男性で31.1%から32.0%とやや増加していた。境界域の割合は男性の全年齢層で増加傾向にあったが、逆にTC260mg/dL以上の高いレベルの者の割合は減少傾向が顕著であった。女性でも同様に高いレベルの者の割合が減少しており、「薬物療法、特にスタチン系薬剤の効果と推測される」と同理事長は述べた。
 血液検査を受診した場所は、男女ともに若年層では職場が多いが、高齢者になるに従って、医療機関が多くなった。血清TC値の検査結果の認知度は、男性23.6%、女性30.3%と低かった。また、血液検査を受診した場所と測定結果の認知度との関係を見ると、人間ドックでは認知度が高く、医療機関では低かった。
 血清HDLコレステロール値の平均値は、男性が50mg/dL前半、女性が60mg/dL前後で、男女ともに加齢に従って減少した。これらを、10年前の調査および1995年の国民栄養調査の結果と比べると、90年から95年では男女ともにHDLコレステロール値が増加していたのに対し、95年から2000年では男女ともやや減少傾向にあった。
Medical Tribune VOL.34 NO.26 2001年6月28楠

長寿更新 男77.64、女84.62歳
 日本人の平均寿命は、女性84.62歳、男性77.64歳で、ともに平均寿命の記録を塗りかえたことが(8月)2日、厚生労働省が発表した2000年の簡易生命表でわかった。前年と比べて女性が0.63歳、男性が0.54歳長寿となり、男女差は過去最大の6.98歳に広がった。
 世界的には、女性はスイスの82.5歳(98年)との差を開きトップ、男性もアイスランドの77.5歳(98-99年)を抜いて、現段階の統計で一番の長寿国となった。
 1999年の平均寿命はインフルエンザの流行の影響で、男女とも前年より縮んだが、昨年はこのような特殊要因がなく、同省は「医療の進歩などで、高齢者の死亡率が下がる従来の長寿化の傾向に戻った」と分析している。
AZWELLメディカルトピックス No.58 平成13年8月13日

ハムスターにかまれてアレルギーショック症状各地で報告
 ハムスターにかまれて、「アナフィラキシーショック」という激しいアレルギー反応を起こす例が、この1年ほどの間に各地で相次いでいる。脳に損傷を受けた人もおり、重い場合には死亡する恐れがある。報告が相次いだ地域の医師会は(7月)25日にも警告を出す。医療関係者は、アニメや漫画によるハムスター人気の広がりで、飼う人が増えたためとみている。
 去年4月、広島市に住む12歳の女の子が、ペットのハムスターに指先をかまれた数分後に呼吸困難を引き起こし、意識不明になった。重症のアナフィラキシーショックだった。この子は、かごの掃除をするときに、せき込んだり目がしょぼしょぼしたりするなどのアレルギー症状を訴えていた。救命治療が功を奏し、今は元気になった。
 去年から今年にかけて、ハムスターにかまれてアナフィラキシーショックを起こす人が、広島市内だけでこの子を含め4人相次いだ。広島市医師会は、25日にも速報で警告する。関東地方や四国でも症例がある。
 アレルギーに詳しい「あおきクリニック」(大阪市)の青木敏之院長によると、ハムスターを含む動物のだ液はアレルギーを引き起こすことがある。かみ傷からだ液が患者の血液に入り、アナフィラキシーショックを起こしたとみられる。軽い場合は全身のじんましんや腹痛などだが、重いと呼吸困難、意識不明になる。
【宮下実・大阪市天王寺動物園飼育課長代理の話】
 急に驚かすとかまれる可能性は高い。近づく時は合図を送りながら飼い主だとわからせていけば、やがて慣れてくる。においで判断する動物なので、抱き上げる時は手を広げてゆっくり近づけ、おなかの下をすくうようにのせるのがよい。
AZWELLメディカルトピックス No.58 平成13年8月13日

タバコと自動販売機
 自動販売機の歴史は古く、エジプトにまで遡るという。日本では明治時代に俵谷高七が考案した、タバコなどの物品を売る機械が自動販売機第一号である。しかし、急速に普及したのは、経済の高度成長により消費財の大量生産が行われるようになった昭和50年ごろからで、昭和42年に新100円・50円硬貨が発行されたことと、日本人のモラルが高く、自動販売機を屋外に設置することができたことが大きな理由である。そのため、商品メーカーが重要な販売機として、新商品の開発、拡販に努力した結果、飲食料から始まって、切手、乗車券、本等多種多様な物品にわたって普及した。少子化の時代に、自動販売機は人手不足を補い、人件費を削減し、そのうえ夜間も休日も休みなしに24時間利用できるため、夜間労働の多くなった現代人にとってなくてはならない物になってしまった。
 便利な反面、たばこ、酒など健康のためにと未成年者の使用が法律で禁止されている商品も、誰にとがめられることもなく、未成年者が気楽に道端で買うことができる。法律で禁止した物を、子供が自由に買えるようにしておいて、買った子供が悪いといえるのだろうか。
 平成13年3月12日、青森県深浦町で、たばこ・酒自動販売機の屋外設置禁止を議会で決めたところ、全国から反対の意見や非難、脅迫まがいの電話やメールが来て、たいへんであったとか。だれが法律を破っても、病気になっても、金さえ儲かればよいと考えているのだろうか。
 たばこ・酒の自動販売機に始まって、最近、問題になっている携帯電話の出会い系サイトまで、日本人は、人に分からなければ何をやっても良いと思うほどに、心が貧しくなってしまったのであろうか。
 明日の日本を担う子どもたちのため、たばこ・酒自動販売機の屋外設置禁止が全国で早く決められることを強く望んでいる。
日医ニュース 第958号 平成13年8月5日

子供ホスピタル
花火の煙、喘息の発作を誘発
 夏休みは今が最盛期。子供たちにせがまれて、キャンプや旅行を計画されていることだろう。忙しい親が子供たちと十分に接しられるのは夏休みをおいて他にないだろう。自然に接する時間を持つためにキャンプや旅行を計画することも多い。  ここで注意していただきたいことがある。夏休みの遊びに必需品ともいえる花火、キャンプファイアー、蚊取り線香の煙が気管支喘息(きかんしぜんそく)の発作を誘発するのである。
 夏休みに入ると気管支喘息の発作で夜中、早朝に救急外来を受診する子供が多くなる。前夜に花火で遊んだり蚊取り線香を焚(た)いていたというのがこの時期の特長である。
 またキャンプ場から直接救急外来に喘息発作で受診する子供は、前夜にキャンプファイアーで楽しみ、花火で遊び、夜はテントの中で蚊取り線香を焚いたというのが典型的なパターンである。
また旧盆の8月13日の夜中から14日の朝にかけてもお墓参りで線香の煙に燻(いぶ)されて喘息発作をおこして受診する子どもが多くなる。
 煙を吸い込めば健康な人でも咳(せ)き込むものだ。ましてや気道が過敏状態にある気管支喘息の子どもでは喘息発作を起こすのは当然である。
 喘息の子どもは煙の出る遊びはしないことが最良の対策である。しかし、これらの遊びが禁止された夏休みは子どもにとってキャンドルのないバースデーケーキのようなものだ。
 現実的に子どもの集団活動では避けがたい遊びである。遊ぶならば、風上に体をおいて決して煙を吸わないことである。
(長岡赤十字病院小児科部長 取越 克巳)
日本経済新聞 平成13年8月3日(金) 夕刊

患者1000人のゲノム解析 がん・糖尿病・高血圧…
新薬に応用 厚労相が計画

 厚生労働省はがん、糖尿病、高血圧、痴ほう、ぜんそくの五つの病気の患者1000人のゲノム(全遺伝情報)を調べ、発病に関係する遺伝子群を見つけ出す大型の研究プロジェクトを十月からスタートさせる。二年間で遺伝子を割り出して、その情報を公開。新薬開発や、個人の体質に合わせて治療法を選ぶテーラーメード医療の実現に役立てる。
 国立がんセンター研究所の広橋説雄所長をリーダーに、同センターと理化学研究所が進める。二十億円の研究費を投じる計画だ。
 五つの病気それぞれ二百人ずつの患者と、病気にかかっていない人のゲノムを調べて比較。その違いを浮き彫りにして発病に関わる遺伝子を見つける。遺伝子を突き止めることがテーラーメード医療実現に不可欠だ。  千人以上のゲノムを調べるのは膨大な作業だが、東京大学医科学研究所などがゲノムの個人差(一塩基多型=SNP)を迅速に調べる手法を開発しており、これを活用すれば二年で出来るという。  人間の遺伝子は約三万−四万個あり、この中から病気に関連する遺伝子を見つける研究が世界の製薬企業や研究機関で活発だ。特に糖尿病(国内患者数二百十二万人)やがん(同百二十七万人)など患者数の多い病気の新薬開発への期待は大きい。
 ただ、がんなどは複数の遺伝子が関係し生活環境がもたらす要因もからんで発病するため遺伝子の割り出しは容易ではない。
 プロジェクトは従来のように個々の遺伝子を追究するのではなく大量の遺伝情報を集め統計学的な処理をすることで標的の遺伝子群を絞り込む新しいアプローチを狙う。糖尿病やがんには日本人がかかりやすいタイプがあり日本人に適した薬の開発にもつながる。
 多数の患者のゲノムを調べ病気遺伝子に迫るプロジェクトは世界でも例がない。
日本経済新聞 平成13年6月15日(金) 朝刊

出生率1.35、4年ぶり上昇
 2000年に生まれた赤ちゃんは前年より約1万3000人増え、1人の女性が生涯に産む子供の平均数を示した「合計特殊出生率」は1.35と4年ぶりに増加したことが20日、厚生労働省が発表した「人口動態統計(概数)」で分かった。しかし過去最低だった前年より0.01上がっただけなのに加え、少子化の要因となる女性の初婚年齢や第一子を産む年齢は引き続き上昇していた。同省は「長期的な少子化の傾向は変わっていない」としている。(関連記事を下に)
 人口動態統計は昨年1年間に役所に届け出られた出生、死亡、婚姻、離婚などの件数を集計して分析する人口調査。2000年の出生数は119万560人で、前年より1万2891人増えた。20代女性の出生数は約1万人減少したものの、30代女性で約2万人増えた影響が大きかった。出生数は93年以降、120万人前後で増減を交互に繰り返している。ミレニアムベービーの効果も期待されたが、2年前の出生数を下回っており、同省は「ほとんど影響はなかったのでは」とみている。

(関連記事)
ミレニアムで結婚大幅増 2000年人口動態統計
 厚生労働省が二十日発表した「人口動態統計(概数)」によると、2000年に結婚したカップルは前年より大幅に増えて79万8140組となり、過去二十年間で最も多い結婚件数となった。第二次ベビーブーム(1971−1974)で生まれた子供が結婚適齢期に差し掛かっていることに加え、同省は「ミレニアム婚人気が影響した」と分析している。一方、離婚件数は26万4255組で十年連続で増加し、過去最多を更新した。“熟年離婚”の増加も目立った。
 統計によると、昨年一年間に結婚した男女は前年より3万6112組増えた。70−74年に第一次ベビーブーム(47−49年)に生まれた女性の多くが結婚したため、婚姻件数は年間100万人を超えたが、その後は減少。80年以降は69万−79万組の間で数千−2万組台程度の増減を繰り返していた。
 2000年の急増ぶりは過去二十年間では、約3万8000組増えた93年に次ぐ。同省は第二次ベビーブームに生まれた子供が結婚適齢期を迎えているだけでなく、2000年という節目の年に結婚するミレニアム婚の影響を指摘。同省の担当者も「ここまで多かったとは」と驚いている。
 一方、離婚件数は前年より1万3726組増加した。離婚件数は64年以降、毎年増加し、71年に初めて10万組を超えた。その後も増加を続け、83年の約17万9000組をピークにいったん減少。ところが、91年から再び増加が続いている。
 増加の背景には長年一緒に暮らしながら、子供に手がかからなくなった後などに離婚する熟年離婚がある。20年以上同居していた夫婦の離婚は4万1825組と前年より2.1%増加。85年に比べると倍増している。35年以上同居していた夫婦の離婚は3882組と数は少ないものの、前年に比べ11.3%と最も高い伸びを示している。
日本経済新聞 平成13年6月21日(木) 朝刊

社説 抜本改善必要な研究投資
 文部科学省が19日に発表した科学技術白書は、科学技術における日本の研究成果の国際比較を取り上げている。これによると、発表された論文数も日本は米国の三分の一程度であった。論文数では英国やドイツとほぼ同程度の量であり、特許出願数では日本が英国の二倍程度、ドイツの三割り増し程度となっている。
 独創性の高い論文ほど、他の論文で引用される回数が多いと考えることができる。各国の論文が全体として何回引用されているかをみれば、それぞれの国の研究の質をみる手がかりになる。引用回数のシェアでは米国が圧倒的に多く50%弱となっており、日本は9%弱でドイツや英国より低いのが現状である。
 これらの数字をみると、米国は別格として、日本は英、独と肩を並べて善戦しているようにみえる。しかし、日本が科学技術に投入している資源量を比べると別の状況がみえてくる。1999年の研究開発投資を円換算で比較すると、米国が28兆円強、日本が16兆円強、ドイツは6兆5000億円程度、英国は3兆4000億円程度である。日本は英国の五倍程度の投資をして同程度の成果を上げていることになる。
 なぜ、日本の研究の生産性が低いのか。論文発表などの際の言葉の壁もあるかもしれない。実際に研究を行っていない人が研究者として扱われ、その経費までが研究開発投資に算定されている可能性も大きい。それにしても差が大きすぎる。
 研究は未知の道を歩くのに似ている。あるきっかけで研究が急展開し多額の研究費が必要になることもある。予定の研究費が不要になることもあるし、先延ばしして研究の準備が整ってから使いたいこともある。要するに、研究費を柔軟に使うことが必要になる。
 しかし、国の研究開発投資をみると、財政当局が財政法を建前として、研究者が使いにくい形の予算しか認めなかった。こういう状況では、巨額をつぎ込んでも、不要な研究施設や、不要なプロジェクトが増加するだけというおそれがある。聖域なき改革を目指すなら、研究開発に適した資金を用意すべきであり、それが研究の生産性を上げる道である。
日本経済新聞 平成13年6月21日(木) 朝刊

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