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妊娠中も4割禁煙せず
【厚生労働省調べ】妊婦の喫煙習慣についての厚生労働省研究班の調査で、妊娠前に喫煙習慣があったと回答した女性のうち約四割が妊娠してからも喫煙を続け、その大半が胎児への悪影響を認識しながらもたばこをやめていないことが三日、明らかになった。
●胎児に悪影響認識もやめられず
 調査対象全体の約六割以上の妊婦が、夫やほかの家族ら、身の周りにたばこを吸う人がいるために受動喫煙の「被害」に遭っていることも判明。妊婦を取り巻く深刻な現実が浮き彫りになった。結果を重く見た厚生労働省は詳しい妊婦の喫煙実態を調べるため、本年度中に全国を網羅しサンプル数を大幅に増やした本格的な調査に乗り出す方針だ。
 今夏の調査は、昨年十二月から今年二月までに北陸、東海、九州地方にある総合病院と大規模な産婦人科医院の計四医療機関で実施。妊婦千四百七十三人にアンケートを行い、妊娠前と妊娠後の喫煙習慣の有無などについて尋ねた。  うち妊娠前に喫煙していた女性は三百七十人で、この設問に回答した人の二十一・六%。妊娠判明後も喫煙を続けた人は百二十三人で、妊娠前に吸っていた人の三十八・八%に上る。
 百二十三人のうち、喫煙が胎児に悪影響を及ぼすことを「知っている」と回答した人は百十三人で、ほとんどの人はたばこの害を認識。「禁煙・節煙したい」と思っている人も百十六人おり、「やめたくても、やめられない」喫煙習慣の実態をうかがわせる。
 日常的に喫煙する人が周りにいるかどうかを尋ねたところ、全体の六三・六%が「いる」と回答。そのうちの半数以上が、夫からの受動喫煙があると答えている。
 研究班の主任研究者を務めた国立公衆衛生院(東京)の大井田隆・公衆衛生行政学部長は「妊娠してもたばこをやめられない人は予想以上に多かった。受動喫煙の確率も高く、胎児を守るには家庭や職場の理解も不可欠」と話している。
AZWELLメディカルトピックス NO.55 2001年6月14日

乳幼児突然死の危険性倍増 女性の喫煙に警鐘 WHO報告
【ジュネーブ30日=清水真人】
 世界保健機関(WHO)は30日、喫煙が女性や乳幼児の健康に特に深刻な影響を及ぼすと警告する報告書を発表した。睡眠中に突然、呼吸が停止する乳幼児突然死症候群(SIDS)が妊娠中の母親の喫煙と深い関係があると指摘。骨粗しょう症や、経口避妊薬(ピル)の服用と喫煙の相乗効果による冠状動脈疾患の危険性の増大にも警鐘を鳴らしている。
 「女性とたばこ伝染病」と題する報告書は、うつぶせ寝との関連なども指摘されるSIDSに触れ「(妊娠中の)喫煙との関連は、どんな薬の乱用・誤用より強い。喫煙はSIDSの危険性を増大させる」との見解を表明。妊娠中の喫煙は流産の恐れも増し、出生児体重が二百-二百五十グラム程度少なかったり、小児喘息、中耳炎にかかりやすくすると指摘している。
 女性自身に関しても、ピルを飲み、たばこも吸う場合、冠状動脈疾患の危険性が「どちらとも縁がない女性に比べて二十倍から四十倍に跳ね上がる」として、ピルを服用するならたばこはやめるよう勧めている。老後には骨粗しょう症にも「一.二倍から二倍」の比率で非喫煙者よりもなりやすいとしている。
AZWELLメディカルトピックス NO.55 2001年6月14日

禁煙には医療関係者のサポートが重要
【大阪府立健康科学センター・中村部長】
 大阪府立健康科学センターの中村正和・健康生活推進部長は5月29日、東京都内で講演し、「喫煙者の4分の3は年に1回は検診改良を受けている。医療や検診の場で医療関係者が禁煙を働きかけることが重要だ」と話した。こうした場面で全てに喫煙者に働きかけると、1割弱にあたる300万人の禁煙が期待できるとの推計を示した。中村氏は、5月31日の「世界禁煙デー」を前に、禁煙補助剤を販売するノバルティス・ファーマが開いたマスコミ向けのメディアフォーラムで講演した。
 中村氏によると、喫煙者の5割は年に1回は検診を受けており、権威sんも医療機関も受診しないのは25%。禁煙人口3270万人すべてが検診や外来の場面で医師から15分程度の禁煙指導を受けたとして、禁煙への関心度合いを用いて推計すると、外来受診者で170万人、検診受診者で120万人の禁煙が期待できるという。同氏は、「仮に5年計画ですべての喫煙者に働きかけるとしても300万人が禁煙するインパクトは大きい」と述べ、すべての医療関係者が禁煙をサポートする重要性を強調した。
大阪府医ニュース 平成13年6月13日

他人の煙で肺がん死「年間1000〜2000人」たばこの害で
国立がんセンター研

 たばこを吸う人たちは、まわりの非喫煙者を年間1000人から2000人も肺がんで殺している−。喫煙者には耳の痛いこんな推計を、国立がんセンター研究所の山口直人・がん情報研究部長がまとめた。31日は世界禁煙デー。「喫煙者はこれだけの害をまき散らしていることを認識し、分煙の徹底を図ることが必要」と山口さんは話している。
 旧厚生省が99年に全国の約1万4000人を対象に受動喫煙の状況を訪問調査しているが、職場や学校では35%、家庭では28%の人が「ほとんど毎日受けている」と答えている。
 今回の推計は、このデータや人口動態統計、これまでの疫学調査でわかった受動喫煙による肺がん危険率などをもとに、99年時点で調べた。
 肺がん死者約5万2000人のうち、自分が吸うたばこが原因で肺がん死する人を約3万8000人と推計。残りの人たちのうち、非喫煙者は1万1000人と見て、さまざまなデータを分析して、1000人から2000人との数字をはじき出した。疫学調査によって危険率が異なるため、推計に幅が出た。
 受動喫煙で吸う煙の方が、喫煙者本人が吸う煙より、一酸化炭素や発がん物質のベンツピレンなどの有害物質が多く含まれていることが知られている。
 山口さんは「肺がんで亡くなる非喫煙者の8人に1人は、受動喫煙が原因だ。害は肺がんにとどまらず、心筋こうそく、子供のぜんそくなど、ほかにもたくさんある」と念押ししている。
朝日新聞 平成13年5月31日(木) 夕刊

男性肺がん3.5倍増
 高齢化の要因を省いて計算してもなお、過去約40年に男性の肺がんが3.5倍、肝がんが1.5倍に増えていることが4月23日、厚生労働省のまとめで分かった。肺がんは喫煙量の多さ、肝がんはC型肝炎ウイルス(HCV)感染が、発病の危険度を高める一因とされる。禁煙指導などのほか、HCV感染の有無を調べるチェック体制の整備が必要となりそうだ。
 戦後の人口動態統計からがんに関するデータを厚生省が抜き出して、特別に解析した。どの年も85年段階の日本社会の年齢構成にあわせて計算し直しており、高齢化に伴って増える死亡者の影響は取り除かれている。
 人口10万人に対して、どの臓器のがんで死亡したかを60年と99年のデータで比べた。男性では、60年に13.6人だった肺がんによる死亡率が47.0人と3.5倍に。肝がんでは60年の19.4人が29.0人になった。女性でも肺がんは4.8人から12.5人へと.2.6倍になった。逆に男女とも、胃がんによる死亡率は激減した。男性が98.5人から40.8人へと半分以下に。女性は51.8人から15.9人と、3分の1以下になった。早期に発見し、治療に入れる基盤整備や医療技術が発達したため、とみられる。
 がんによる死亡者数は99年で約30万人。うち肺がんは5万2000人と、98年に胃がんを抜いてトップに躍り出た。肝がんは3万4000人と3位だが、肝硬変とあわせると4万4000人にのぼる。
AZWELLメディカルトピックス NO.53 2001年5月10日

しつけのなぞ -2- 脳の発達、3歳ごろピーク
 子育てを脳科学から見るとき、忘れては鳴らないことがいくつかある。中でも重要なのは、脳とその神経細胞(ニューロン)の発達のパターンである。端的に、脳が急速に発達するときの子育ては、十分すぎるほど大切にすべきである(その期間以外も重要だが)。
 私たちの脳を作っているのはニューロンである。大人の大脳には150億個ものニューロンがあるが、実は子供のころの方がずっと多い。誕生時には大人の数倍、少なくとも500億個のニューロンがある。ところが、生後1年でニューロンは激減してしまい、1歳ころには大人のレベルに近づいてしまう。
 もともと、私たち人類では赤ん坊は早く生まれすぎる。胎内にいるのは約270日間だが、本来はもっと長く胎内にいてもよいのだ。ところが、人類の赤ん坊の頭(脳)はあまりに大きくなり、産道を通れない。というわけで、1年ほど早く(未熟な状態で)生まれるのだ。
 他のほ乳類では、胎児のころにニューロンは激減する。ヒトで生後1年となるのは、それまでは「胎児」だからと考えてよい。だから、この期間には、それにふさわしい育て方がある。要は「胎児のように育てる」ということだ。綿密なスキンシップを軸にして、暖かく優しく育てるのが基本で、この間にストレスをかけるような育て方をするのは大変マズイ。
 ニューロンは生後1年でほぼ半減してしまうが、ニューロンが作る回路、神経回路はその後も発達し続ける。複雑な神経回路がどんどん作られてゆき、3歳ほどでピークに達する。生後から3歳位の間は、神経回路が最も急速かつ豊かに発達する期間であり、この期間での環境もまた重要である。とくに「栄養」が大切だ。
 ここでいう「栄養」には二つの意味がある。一つは、食べ物から取る栄養である。この期間での栄養が不足してくると、神経回路が十分に発達しない。そのため知能が低下する。
 脳の発達に重要な「栄養」は、食べ物による栄養だけではない。環境からの「栄養」、つまりは豊かな環境・複雑な刺激が必須である。これらの点に関しては、別の機会に改めて述べてみたいが、こうした「栄養」によって脳や知能の発達は大きく左右されてしまうのである。
 神経回路は3歳位までに急速に発達した後、しばらくそのレベルを保ち、8歳位から、今度は減少し始める。ということは、8歳位までが、脳の発達にとって非常に重要な期間だということになる。実際、脳の重さは8歳ともなれば、大人の脳の90%近くにもなってしまう。他の身体部位はこれほど急速に発達するわけではなく、脳は特殊な臓器なのである。脳機能・心の発達にとって最重要な期間、「臨界期」が生後から8歳くらいまで、というのはこのことからもうなずけることである。
 ここでみてきたような脳の発達パターンを踏まえることが、子育てにとって大切なことは言うまでもない。とくに、やはり8歳くらいまでの環境と教育はとても重要なのである。このことはいくら強調してもしすぎることはない。
(北海道大学教授 沢口俊之)
日本経済新聞 平成13年5月13日(日)朝刊

厄介な黄砂 隠れた効用
 西日本の空は春、たびたび黄色く染まる。中国内陸部で巻き上がり、偏西風で運ばれてくる黄砂のためだ。日本では、洗濯物を汚したり、視界が悪くなる程度の影響しかないが、中国や韓国では、降り注ぐ砂が日常生活に支障を及ぼすほど被害は深刻だ。一方で、太平洋に栄養分を運ぶなど黄砂の意外な役割も、最近の調査で分かってきた。
●酸性雨中和促す 海に養分も補給
 2000年春、中国北部は50年ぶりの激しい黄砂に見舞われた。航空機が飛べないほど視界が悪く、北京空港が一時閉鎖になった。同市内では、ビル建設作業員が転落死する事故も起きた。内陸部ではこぶし大の大きさの石ころが飛び、自動車のガラスを割る被害も。このころ中国を訪れていた国立環境研究所科学環境研究領域の西川雅高主任研究員は「目の前のビルもかすんでしまう。砂あらしに近い」と表現する。
●経済損失7000億円
 黄砂は、中国西部のタクラマカン砂漠やゴビ砂漠などの砂が風で巻き上げられ、西風が強まる春に東アジア一帯に飛び散る現象。タクラマカン砂漠から東に向かう途中、山脈に挟まれた細い通り道を抜けるときに加速される。上空5000メートル近くにまで舞い上がり、遠くまで飛ばされる。
 中国では砂漠拡大の影響で、黄砂による激しいあらしが増加する傾向にあり、1950年代に5回だったのが、90年代には23回に増えた。その経済的損失は、年約7000億円と試算されている。  黄砂のほとんどは中国内に落ちるが、高く舞い上がると日本にも届く。気象庁によると、日本での確認数は2000年の累計で年約800回と、前年比の2.7倍。量は平均して年約300万トンといわれ、一平方キロメートルの地面に年間2-3トンの黄砂が降り積もる計算になる。今年4月には北米まで飛んだことも確認された。
●アルカリ含む
 やっかいものと思われている黄砂だが、意外な効用があることが分かってきた。一つが酸性雨の中和。タクラマカン砂漠から飛んでくる黄砂には、アルカリ性の炭酸カルシウムが多く含まれ、これが雨に溶けて雨中の酸性物質を中和しているという。
 西川主任研究員は、日本にやってくる黄砂には「国内の酸性雨の1-2割を中和する能力がある」と見積もる。成都や重慶のある四川盆地は、中国では珍しく黄砂の降らない地域で、ここが最も酸性雨被害の激しい場所になっていることと、深い関係があるのかもしれない。
 黄砂は海の生物に栄養を供給する役割も担っている。砂には、リンやカルシウム、鉄などの無機養分が付着している。海は一般に鉄分が不足しており、鉄不足が植物プランクトンの増殖を妨げているが、東シナ海では黄砂が供給する栄養分で植物プランクトンが増え、これをえさに魚が育っている。
 養分はかなり豊富なようだ。人工衛星を使って黄砂や植物プランクトンの動きを調べている東海大学開発工学部の虎谷充浩講師は「赤潮の発生も、黄砂が関わっている可能性がある」と指摘する。土地がやせたハワイ諸島の火山島では、黄砂が運ぶ養分が無いと、木々が育たないという研究結果もある。
●日中が共同研究
 陸地表面は砂漠だが、地中内部にはたくさんの無機成分が眠っている。細かな砂による毛細管現象で、無機養分が地表に吸い上げられ、それが栄養源として循環しているおもしろい事例といえる。
 中国内陸部では森林の伐採や過度の放牧が進み、土地の砂漠化に歯止めがかからない。環境破壊が進み、黄砂被害も増える。日中政府はこの4月、協力して黄砂の実態を解明する共同プロジェクトを始めた。詳細な発生地点を突き止め、集中的に緑化する。効用はさておき、黄砂を抑え込みたい考えだ。
日本経済新聞 平成13年5月13日(日)朝刊

武田薬品 ぜんそく遺伝子特定 
ゲノム創薬 抑制遺伝子も見つける

 武田薬品工業は、ぜんそくなどの呼吸器疾患に関係が深いヒト遺伝子を特定し、その働きを抑える「新薬の種」となる物質も見つけた。病変部と正常な部分の細胞の遺伝子を比べて、病気関連の遺伝子を特定して新薬づくりに役立てるという新しいゲノム創薬技術で初の成果。24日発行の科学雑誌「米国科学アカデミー紀要」に掲載される。
 呼吸器疾患に深く関わっているヒト遺伝子は「CLCA1」。99年に小腸の細胞から発見されていたが、役割は分かっていなかった。
 武田は3年前から、ぜんそくにかかったマウスと正常なマウス双方の肺細胞から遺伝子を取り出して両者を比較。これにより、ぜんそくにかかわっている遺伝子を探す研究を始めた。このうち遺伝子「Gob-5」がぜんそくの肺細胞にとくに発現していることが分かった。この遺伝子を正常なマウスの肺細胞に多量に組み込むと、細胞の表面に粘液がでて、ぜんそく症状を引き起こした。
 マウスとヒトの遺伝子は、つくりが似ているため、Gob-5の塩基配列情報から、同じ役割を持つヒト遺伝子がCLCA1だと特定できた。
 武田はすでにCLCA1の発現を抑える複数の物質を発見。新薬にするための研究を始めている。同社によると、日米欧のぜんそく患者は約2700万人、肺気腫などの慢性閉そく性肺疾患は約3500万人といい、画期的な新薬が期待されているという。
朝日新聞 平成13年4月21日(土)朝刊

喫煙と腰痛に関連性
〔サンフランシスコ〕50年以上にわたる特定集団を対象とした調査研究が完結し、喫煙の危険は肺や心血管系だけでなく腰の骨や関節にまで及ぶ可能性があるとの結論が得られた。当地で開かれた米国整形外科医学会(AAOS)の年次集会で、ジョンズホプキンス大学(メリーランド州ボルティモア)のUri Ahn博士らは「腰痛の発生と過去の喫煙歴との間には有意な相関がある」と報告した。
【他の健康因子を上回る相関性】
 Ahn博士らは「データは喫煙により腰痛のリスクが増加することを決定的に証明するものではないが、その相関性には明らかになんらかの生理学的な根拠がある」としている。  同博士らは、1947〜64年にジョンズホプキンス大学を卒業した1300人を超える医師の追跡調査を実施した。被験者は喫煙習慣、腰痛の発生率、高血圧、コレステロール値、血圧などの健康因子に関連する質問から成る年1回のアンケート調査に答えた。
 特に、過去の喫煙歴と関係があると思われた脊椎疾患は、変性脊椎症、脊椎すべり症および脊柱管狭窄の3つだった。腰椎椎間板に対する影響はなかった。
 同博士らは、アンケートで被験者に喫煙歴と腰痛の既往歴を項目別に示すように求め、その相関性を解析した。その結果、喫煙、高血圧およびLDLコレステロール値の上昇には相関性が認められた。
 腰痛と過去の喫煙歴との相対リスク(RR)は1.25だった。椎間板損傷または椎間板変性の愁訴に相関は認められなかった。
 腰椎脊椎症と喫煙にはRR=1.85と明らかな関連性があったのに対して、脊椎症と高血圧ではRR=1.50、脊椎症と高脂血症ではRR=1.17にすぎなかった。
 いずれも統計学的に有意な相関だった。
 Medical Tribune VOL.34 NO.16 2001年4月19日

ぜんそく遺伝子発見
武田薬品、治療に一役

 ぜんそくなど呼吸器の病気の原因遺伝子の一つを発見したと、武田薬品工業が二十日発表した。マウスの実験で遺伝子の働きを明らかにし、最近解読が終わったヒトゲノム(全遺伝情報)と照らし合わせることで、患者でも同じ機能の遺伝子が働いていることを確認した。この遺伝子の働きを抑える物質を見つければ、気管支ぜんそくや慢性閉塞(そく)性肺疾患の治療に役立つという。
 同社は健康なマウスとぜんそくの遺伝子の働き方を比較してこの遺伝子を発見した。外部からの刺激で気道が炎症を起こす反応に深くかかわっていたこの遺伝子が働かないようにすると、マウスの炎症反応は抑えられた。人間で同様の遺伝子を探したところ「CLCA1」という遺伝子がよく似た構造をしていることがわかった。ぜんそく患者ではこの遺伝子が働き過ぎていたという。
日本経済新聞2001年4月20日(金)

平成11年国民栄養調査結果
脂肪エネルギー比が高率に

 厚生労働省は、三月九日、平成十一年国民栄養調査結果を発表した。
 本調査は、栄養改善法に基づき、国民の食品の摂取量、栄養素等摂取量の実態を把握すると同時に栄養と健康との関連を明らかにし、広く健康増進対策等に必要な基礎資料を得ることを目的として、平成十一年の十一月に実施された。
 それによると、高血圧、高血糖の者の割合は、男女とも高年齢階層ほど高率。肥満者の割合は男性で四十歳代(三十一.四%)、女性では六十歳代(三十.四%)、高脂血者の割合は男性では四十歳代(五十九.六%)、女性では五十歳代(六十二.五%)で最も高率である。  健康上の問題として、「血圧が高い」「血糖が高い」ことを認識している者の割合は男女とも高年齢階層で高いが、最高でも三割。また、高血圧などと判定されている者について、その現実の状態を自分の健康問題として認識している者は男性では約三〜五割、女性では約一割〜六割になっている。
 エネルギー摂取量に占める脂肪エネルギー比率は、男性では二十〜四十歳代で、女性では二十〜五十歳代で適正比率の二十五%を越えて高率。摂取脂肪エネルギー比率が二十五%を越える者のうち、「とりすぎ」と認識している者が約二割にとどまり、「ちょうどよい」「少ない」と認識している者の割合が約六〜七割にのぼる。
 健康のために脂肪を適量にしようと思う者は、男性では七十二.四%、女性では八十六.六%。適正な食品選択や食事の準備のために必要な知識・技術を持つ者は、男性では約三割、女性では約五割。「まったくない」とする者は、二十歳代の男性では二十三.九%、女性では九.一%、三十歳代の男性では十九.三%、女性では四.二%。
日医ニュース 第950号 平成13年4月5日

世界人口93億人 88%途上国占める
 世界人口は、毎年7700万人ずつ増え、2050年に93億人(最も可能性が高い予測の中位推計)に達することが、国連人口部が28日発表した「2000年世界人口推計」で分かった。このうち、開発途上国の人口は82億人を占め、全体の88%となる。前回の1989年推計では、2050年の世界人口は89億人と推測されており、4億人増えることになる。
 毎年の増加数の半分は、インド、中国、パキスタン、ナイジェリア、バングラデシュ、インドネシアの6カ国が占める。
 途上国全体の人口は、2000年の49億人から、50年には約7割も増える。アジア、アフリカなどの最貧国48カ国では、エイズによる死者が増えているにもかかわらず、人口は6億6000万人から18億人に増える。
 先進国全体の人口は、2000年の12億人から50年には11億人に減少。減少率は日本とドイツが14%、イタリアとハンガリーが25%、旧ソ連のロシア、グルジア、ウクライナでは28〜40%に達する。先進国の人口減少は、未婚、離婚、晩婚が増えているためという。人口の高齢化は世界的に進み、全世界の60歳以上の高齢者は50年に約20億人となる。【生長 恵理】毎日13.3.1
AZWELL メディカルトピックス No.51

「禁煙」「分煙」対策の徹底に医師が責務を果たすべき時
 日本医師会は去る2月11日の読売新聞紙上に”日本医師会は、禁煙キャンペーンをはじめます”とのキャッチコピーのもとに意見広告を掲載した。子どもができた、走ったら呼吸が苦しくなった、オフィスが禁煙になった…などが禁煙のタイミングであるとし、日医は今年、組織をあげて禁煙キャンペーンを始めることを宣言しており、また”たばこ”と病気の関係を明らかにしていくと同時に、国民の禁煙に協力していくことを表明している。
 この広告の中で、日医広報課のFAX番号とメールアドレスを掲げて読者からの意見や要望を募っているが、3月1日現在計83通のメールとFAXが入っており、その多くが、”しっかりやって欲しい”というような応援や励ましの声であるという。またそれ以前の本年1月5日に、日医の坪井会長が読売テレビを通じて、日医が禁煙キャンペーンを実施することを宣言した時にも、視聴者からの反響が思いのほか大きかったということで、今では国民の禁煙への関心が如何に強いかが窺い知れるところである。
 日医は来年度から、「禁煙キャンペーンプロジェクト委員会」を発足させて、禁煙活動に積極的に取り組んでいくことにしているという。去る2月17日には、日医、日本学校保健会主催の学校保健講習会で、喫煙防止教育をテーマにしたシンポジウム「喫煙防止教育と学校医の役割」が開催された。また日医ニュースの投稿欄「会員の窓」では、今”たばこ”をテーマに会員からの意見・提言を募っているところでもある。
 喫煙が健康に悪影響を及ぼすことはすでに周知の事実であるが、わが国では喫煙は個人の嗜好の問題であるとして、比較的寛容に扱われてきた。従来、医師会においても、喫煙者の立場を配慮してか、たばこ問題に関する健康教育や禁煙活動への取り組みが消極的であったことは否めない。しかしこの度、日医が禁煙キャンペーン実施を宣言した以上は、今後、組織をあげて積極的に取り組んでいくしかあるまい。もう絶対に後へは引けないのである。
 大阪府ではすでに、昨年来、府内の全医療機関において、2005年までに、禁煙・完全分煙の実施を目指す「たばこ対策ガイドライン(医療機関編)」に沿って、禁煙対策に取り組んでいる。最近では医療機関向けの「たばこ対策推進キット」を作成し、希望する医療機関などに無料配布して、さらなる周知・徹底を図っているところである。
 日医にとっても府内の医療機関にとっても、今こそ医療担当者としての当然の債務を果たすべき時が来たのである。
大阪府医ニュース 2001年(平成13年)3月14日第2200号

国民医療費5.5%増
― 来年度見通し30兆7000億円に 増加ペース再加速 ―

 厚生労働省は2001年度の国民医療費が30兆7千億円と、今年度より5/5%増えるとの見通しを明らかにした。国民医療費は患者負担引き上げの影響でここ数年は年2-4%の伸びにとどまっていた。高齢患者の急増などを背景に、ふたたび医療費の伸びが加速する見込みだ。
 2001年度の国民医療費のうち、約36%にあたる11兆円は高齢者医療費が占める。高齢化で原則70歳以上向け医療保険(老人保健)の適用者が60万人も増え、医療費は今年度に比べ9千億円膨らむと見込んでいる。健康保険組合加入のサラリーマンなど現役世代が使う医療費を合わせた全体では、同1兆円6千億円増える見通しだ。
 昨春の介護保険制度導入で、国民医療費に計上していた高齢者医療費の一部が介護保険に移行することになった。このため今年度の国民医療費は29兆千億円と、過去最高だった1999年度の実績を下回る。しかし、2001年度は介護保険への移行に伴う医療費削減効果が小さくなる。厚生労働省は医療費は介護保険制度導入前の増加ペースに戻る可能性が大きいとみている。
 国民医療費は現行制度のままだと2025年ごろまで年平均4%程度の高い伸びが続く見通し。同省は2002年度の実施を目指している医療保険改革で、国民医療費にこれよりも低い伸び率の目標値を設定し医療費を抑える案などを検討している。
AZWELL メディカルトピックス No.50

医療技術のみが進歩しても豊かな長寿社会は望めない
 本年1月24日の読売新聞に、”半世紀後の日本人の平均寿命は93歳になる”とする調査結果が公表されたことが報じられていた。これは、先進各国の政府は寿命の伸びを過小評価しているとの見方から、米戦略国際問題研究所が昨年までに、日本や英米仏などの7カ国を対象に独自に実施したものである。
 この調査では、過去の死亡率などを基に確率的に推計する方法により、日本の2050年の平均寿命は”3分の2の確率”で、93.20歳になるとしており、また逆に90歳に達しない確率は6分の1程度でしかないとしている。すなわち日本政府の公式推計よりも10歳以上も長生きする可能性があるということだそうである。このことは長寿を望む者にとっては大変喜ばしいことではあろう。
 ところがこの調査が、さらに指摘しているところによると、こうした公式推計を上回る”長寿化”に伴う財政負担の増加は、約59%と推計されており、今後労働力の減少がますます進むこともあって、このことが「年金財政を危機に陥れるかも知れない」と警告している。そうなればただただ長寿を喜んでばかりはおれないし、それどころか非常に深刻な問題を抱え込むことになる。
 たとえ現実にはこの推計どおりにはならないとしても、現在すでに年金、医療、福祉などの社会保障制度全般の見直し、特に財政的逼迫から負担と給付のあり方の見直しが求められている中で、この”年金破綻警告”は、まさに当然のことと受け止めねばならない。
 近年の諸々の技術革新の成果は、例えば遺伝子診断、遺伝子治療、臓器再生などとして迅速に医療にも取り込まれていき、長寿化は確実に保証されることになろう。しかしそれが本当に人々に幸せをもたらすことになるのであろうか。残念ながら現状は、そういったことをじっくり考えたり確かめたりする余裕さえないありさまである。生活を豊かにするに必要な資源も乏しく、生活を潤すだけの経済的余裕もない中で、いくら長生きをしてみても、それが人々にとって幸せであろうはずがない。科学技術、医療技術のみが突出して進歩しても意味がなく、あらゆる分野との調和のとれた進歩・発展でなければならない。如何に長生きするかではなく、人々が長生きしていく上で何が必要なのかが問題である。
大阪府医ニュース 平成13年2月28日

WHOのたばこ枠組み条約は健康日本21にも関係
--厚生労働省・篠崎局長--

 厚生労働省は1月30日の全国健康関係主管課長会議で、1月に開かれた世界保健機関(WHO)の執行理事会について報告した。篠崎英夫健康局長は、プルントラント事務局長が根拠に基づく保健施策や、たばこの枠組み条約、マラリア対策の3つを優先課題としてあげていることを説明。とくに、健康教育や若年層の喫煙防止、販売規制、税問題などについて盛り込まれる、WHO初のたばこの枠組み条約については、「健康教育や若年層の問題、児童喫煙の保護などは、健康日本21にも関係する」として、国内での取り組みを求めた。
 たばこの枠組み条約は、健康に大きな影響を与える問題に各国が政府をあげて対応する初の条約として、WHOが2003年に向けて具体化を進めている。昨年10月に第1回の政府間交渉が行われ、今年4月末に第2回交渉が開かれる予定。販売規制や税問題など、日本にとっては締結が難しい内容も案としてあがっており、注目されている。(1月31日付)
大阪府医ニュース 平成13年2月14日

「禁煙運動」推進して健康管理キャンペーンを展開
--日医・坪井会長が意欲--

 日本医師会の坪井栄孝会長は新年の抱負を語ったなかで、日医の政策の一環として「禁煙運動」を推進していく方針を明らかにした。2002年度を控えて議論が本格化する医療制度抜本改革については「われわれが出している直近の(2015年医療の)グランドデザインまでの政策を具体化するための肉付け、血液をどう流すのかということを今年度を通してやっていきたい」との決意を表明。「政策をわかりやすく文章化し、全体討議をする下敷きづくりをする仕事をまずしていきたい」と述べた。
 今年度の政策目標で坪井会長は、新しく禁煙運動を推進する方針を示した。世界肺癌会議、日本肺癌学会、東京都と日医の4者で禁煙を含めた健康管理に関するキャンペーンを展開すると説明し、「具体的政策を逐次進めていきたい。先生方の理解を得ながらぜひ成功させていきたい」と意欲をみせた。
 抜本改革議論では営利企業の参入によって医療機関同士の競争を高めるべきとする規則緩和論に、「医療・介護を良くする『救世主』であるという考え方は間違っている」と否定的見解を示した。人員配置、構造設備を医療機関自らの裁量で自由に設定し、その情報を公開して国民の選択に供するという「質」を競い合う競争こそが、医療の世界に求められる競争だとの認識を表明。これに対して現行医療法は「細々したことを決め、決めた路線の2本のレールのうえを、回転のいい車、大きくもなく小さくもない車で進めば医療機関の経営が楽になるような法律であり、官僚統制以外の何者でもない」と断言、最初に法律ありきで医療提供体制が決まるのでなく、医療提供の実態に法律を合わせる方向への転換が必要だと説いた。
 頻発する医療事故への対応では、「より安全性を高めるための理論武装をし、患者の安全を目標にしていきたい」とするとともに、「器具やシステムだけの問題ではない。個々人のちょっとした油断、思い違いというのがあり、医療はそれがあってはならない世界だ」と指摘。医療関係者に対して「白衣の重みと、医師はヒポクラテスの誓い、看護婦はナイチンゲールの精神を常に考え、自分が何をする人なのかをリピートすることが必要だ」と意識改革を促した。
平成13年1月5日付 大阪府医ニュース 平成13年1月17日(毎週水曜日発行)

(1)予期せぬ科学の力、社会的な役割議論を
   ロバート・メイ英王立協会会長

 科学は20世紀に長足の進歩を遂げた。単なる研究開発だけでなく、科学を支える仕組みの点でも大きく前進したと言える。半 面、生命倫理などで人類に重い課題を突き付けた時代でもあった。

副作用にも直面
 科学が20世紀に、人類に多大な恩恵をも たらしたことは間違いない。50年前、46歳だった世界の平均寿命は今や64歳。先進国と途上国の寿命格差は26年から12年に縮まった。過去30年で食糧生産量は2倍になった。宇宙や世界の成り立ちについての科学 的な理解も飛躍的に進んだ。
 国による組織的な研究が始まったのも20世紀の前半だった。とりわけ第二次世界大戦が国家による科学への投資を強く刺激した。実験と学理を伴う近代科学は英王立協会の12代会長だったアイザック・ニュートンから始まるが、それでも今世紀までは特権階級のお遊び、暇つぶしに過ぎなかった。
 20世紀は科学の進歩による「予期せぬ結果」にも直面した。一つは長寿化の裏返しとしての人口爆発の問題だ。1830年に10億人だった世界人口が現在は60億人。2050年には100億人に達する。地球温暖化の問題が二つ目に挙げられる。いずれも科学が可能なことを手当たり次第に実行してきた結果である。

内面の世界変化
 19世紀英国の著名な物理学者、ケルビンは「空気より重い物は飛ばない」と言い、50年前には、IBMの首脳でさえ今の情報社会を予測できず「世界中で5台のスーパーコンピューターがあれば十分」と言い切った。 21世紀も驚くべき何かが起こるとしか言えない。
 近い将来で言えば、理解できない言語で書かれた膨大な書物のようなヒトゲノム(人間の全遺伝情報)を研究者は情報工学や素粒子物理学の助けを借りて分類し、有益な情報を読み取るだろう。勇気ある人はデオキシリボ核酸(DNA)を発見した米国人ワトソンと英国人クリックを超えた遺 伝子工学の新たな領域を切り開くかもしれない。
 20世紀の科学が奴隷のかわりに機械を使って、人間の外の世界を変えたのに対し、21世紀の科学は生命の仕組みを解明し、人間や穀物や動物を内 側から変える。21世紀の科学がもたらす「予期せぬ結果」は20世紀より大きいかもしれない。
 英科学技術省が最近実施した世論調査は人類の科学に対する期待と不安を浮き彫りにした。85%の人々が「科学は我々の生活を改善する」と前向きな反応を示す一方で、半分以上の人が「今の科学の進歩は早すぎて規制がついていけない」と心配している。

急速な進歩危ぐ
 20世紀の教訓として、我々は学問と技術の進歩を目指す科学者と、漠然と科学に不安を感じる人たちとの深い議論が大切なことを学んだ。科学は 知識と機会を与える。だがそれを使って何をするかを決めるのは、圧力団体でも科学者でも政府でもなく、社会そのものであるからだ。人間のクローンなど倫理上、科学が踏み込んではならない領域はあるが、すべてを禁じるべきではない。
 歴史上、科学は大衆や時の権力の不信にさらされてきた。400年前のイタリア、(ローマ教会とは違う宇宙論を展開した)ブルーノは火刑に処せられ、ガリレオ・ガリレイは牢(ろう)につながれた。世間には、科学の急速な進歩を恐れる風潮があるものなのだ。
 遺伝子組み換え食品について、環境保護団体、グリーンピース会長を務める英国のメルチェット卿は「私は科学に興味はないが心情的に組み換え食品は間違いだと思う」とまじめに言う。それも社会の声の一つと受け止め、もっと議論しようではないか。英国は来年前半に不妊治療を目的としたヒトの未分裂細胞研究の是非を議会の自由投票で決めるが、こうした議論の好機と考えている。ただ、一つ言えるのは次の世紀に最も革命的な役割を果たすのはやはり科学をおいてほかにないということだ。
 20世紀も残すところあと6日。新世紀、人類を待つのはどのような変化や驚きか。世界の賢人、有力経済人が来たる時代を読み解く。

●ロバート・メイ英王立協会会長の略歴
1936年オーストラリア生まれ、64歳。カオス理論を専門とする理論生物学者。エイズのまん延や種の絶滅を数学的理論で説明して高い評価を受けた。英政府主席科学顧問を経て、今年12月、過去にニュートン、アインシュタインらが在籍し、現在はホーキング博士が名を連ねる科学の殿堂、英王立協会の会長に就任した。
日本経済新聞2000年12月26日(火)

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