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朝食抜き・栄養の偏り・・・子どもの食事で文部省が参考書
学校現場向けに発刊

 カルシウム不足や脂肪の取りすぎなどの偏った栄養摂取や、朝食抜きで登校するなど子どもの”食”が問題になっていることから文部省はこのほど、「食に関する指導参考資料」をまとめた。給食だけでなく、授業を通じて食の在り方を教える取り組みも紹介しており、子どもの食事に悩む家庭の参考書としても使えそうだ。
 同省は1998年6月、「教科、道徳、特別活動を通じて発達段階に応じた『食』の指導に取り組む」よう体育局長名で食の教育を通知したが、学校現場からは「どう教えていいのか」との、戸惑いの声が少なくなかったことから参考資料を発刊することにした。
 参考資料は肥満傾向が増大しコレステロール値や血圧が高い子どもが増えており、将来の生活習慣病が心配されていると指摘。食の教育を通じて体の健康だけでなく心や社会性を育成し、自己管理能力を育てることができると強調している。
 指導例として、食材となる野菜など植物を育てて収穫、調理する生活科や、魚の解剖を通じて消化の仕組みを学ぶ理科などの授業を紹介している。
日本経済新聞 2000年6月22日(木曜日)
大学運営の実態阪大が外部評価
「経営企画部門設置を」

 大阪大学は21日、大学運営の実態や教育・研究水準などの評価を外部の専門家に依頼してまとめた外部評価報告書を発表した。報告書は教官が管理や運営に時間を取られ教育・研究に支障をきたしていると指摘。専門スタッフを中心にした経営企画部門を設けるなど大学の管理・運営のやり方を変えるべきだと提言している。大学全体を対象にした外部評価は国立の総合大学では初めてという。
 外部評価委員会は早石修・大阪バイオサイエンス研究所名誉所長を座長に、外国人5人を含む16人で構成。大学全体の運営管理に加え、経済、医、基礎工学の三分野について教育・研究内容を評価した。
 意志決定の仕方について、現在50人以上で構成する評議会では意志決定に時間がかかると指摘した。
日本経済新聞 2000年6月22日(木曜日)
IT対応、日本は不利
「創造的な破壊」生みにくい社会

 日本でも米国の後を追って、インターネットが急速に普及してきた。産業革命以来、経済活動と人口は大都市に集中したが、これは工場に労働者を集める必要性から生じた現象だ。ITの発達によって大都市への一極集中という流れが逆転する可能性が強いが、IT革命の後にバラ色の未来が広がっているとは限らない。むしろ日本にとては「とんでもない時代がやってきた」と覚悟するべきだ。
 米国の現状を見ると、IT革命の進行によって、伝統的なビジネスが行き詰まるという「破壊的な影響」が生じている。
 アマゾン・ドット・コムに代表されるオンライン書店の急成長は、従来型書店の経営に深刻な脅威を及ぼしている。CD-ROM百科事典の登場で、二百年以上の歴史を持つブリタニカ百科事典が行き詰まったことは象徴的だ。オンラインでの株取引の普及も伝統的な証券会社の経営基盤を脅かしている。
 米国での現象をネガティブにとらえいているわけではない。「破壊的な影響」は、従来とは全く異なる新しい経済が生まれる準備段階であり、いわば「創造的破壊」だ。米国は労働市場が流動的なことや、全く新しい分野にリスクマネーを流入させる仕組みが存在することなど、社会制度全体が流動的な特徴を持っていることが大きい。インターネットは本質的に、流動的・分権的な社会に向いている技術だ。
 日本ではまだ「創造的破壊」は生じていない。新しい主役が登場するのではなく、古い伝統的な企業がITという新しい技術を取り入れることによって、既得権を守りながら生き残ろうとしているのが実情ではないだろうか。
 今後も日本で「創造的破壊」が起きるかどうかは疑わしい。例えば書店については、再販制が続く限りオンラインで安く販売することは不可能だ。日本ではそうした強い規制がまだ多い。企業間の電子商取引(BtoB)も、日本のようにこれだけ「系列」が強固な社会では難しい。
 日本人には言葉のハンディも大きい。「BtoB」が普及すれば、日本の中小企業も欧米や東南アジアの企業と同じ土俵でグローバルな競争を迫られる。英語、特に「書く英語」の能力がなければ最初から排除されてしまうだろう。
 こうして見ると、インターネットの普及は「日本にとって不利な技術が生まれた」と考える必要がある。日本の社会が変わることによってIT革命に対応できるようになってほしいと思っている。しかし、楽観できない。(談)
日本経済新聞 2000年6月23日(金曜日)
地域ネットワーク特集 野口悠紀雄東大教授インタビュー

シックハウス症候群対策 汚染物質総量規制へ
厚生省検討会が中間報告

 住宅建材に含まれる化学物質が原因で体調不良を起こす「シックハウス症候群」の対策を協議する厚生省の検討会は26日、複数の汚染物質の総量について指針値を定める方針などを盛り込んだ中間報告書をまとめた。検討会はこれまで、個々の汚染物質の室内濃度指針値を検討してきたが「総量規制」に乗り出すのは初めて。
 総量の指針値の必要性について、複数の化学物質で室内空気が汚染されたり、業界が規制がない代替え物質を使用することで新たな健康被害を引き起こす恐れがあるためとしている。科学物質の中からどれを対象とするのか、数値をどう定めるのかなど、検討課題は多く、取りまとめ時期を厚生省は「できるだけ早くしたい」としている。
 中間報告書では前回の検討会で示された3物質の指針値を正式に盛り込んだ。それによると健康な人が、その化学物質による健康被害を受けないようであろう値としてトルエンは空気1立方メートル当たり260マイクロ(1マイクロは100万分の1)グラム、キシレンは同870マイクログラム、パラジクロロベンゼンは同240マイクログラムが上限とされた。さらに防蟻剤(ぼうざい)のクロルピリホスのほか、エチルベンゼン、スチレン、フタル酸エステルの4物質の指針値を次回以降に策定することが決まった。
日本経済新聞 2000年6月27日(火曜日)
皮膚科学会 アトピー治療初の指針
 アトピー性皮膚炎の治療に使われるステロイド(副じん皮質ホルモン)の塗り薬への誤解を解くため、日本皮膚科学会は、その適切な使用を定めた初の治療ガイドラインを作成、26日、仙台市で開かれた同学会総会で報告した。
 ステロイド剤の副作用をことさら強調、民間療法を売り込む”アトピービジネス”が目立ち、同学会が調査した重症アトピー患者の約半数が、民間療法などで、症状を悪化させていた。
 こうした状況を受け、ガイドラインは、ステロイドの塗り薬が、現時点で、皮膚の炎症を抑える薬の中で、有効性と安全性が十分確立されている第一選択の薬と位置づけた。
 その上で、ステロイド剤は、様々な強さのランクがあり、効果が強い薬ほど、皮膚が薄くなるなどの副作用が起こりやすい。このため、皮膚炎の症状に応じた薬の選択が重要とし、重傷度別の使い方を示した。また、成人の重症例には人間関係などのストレスが悪化の要因になっている例があり、精神科などと連携し、心の面からの治療の必要性も説いている。
 ガイドラインの作成にあたった川島真・東京女子医大教授の話「ステロイドに対する一般の誤解を解くため、学会として改めて社会に基本的な治療方針を示した」
読売新聞2000年5月27
AZWELLメディカルトピックスNo.35 平成12年6月15日

日本人の歯 長寿化進む
「80歳で20本」6.5人に1人 厚生省調査
子どもの虫歯も大幅減

 日本人の歯の寿命は12年前と比べ5年以上延びており、80歳の6.5人に1人は自分の歯が20本以上残っているとみられることが、厚生省が2日発表した1999年の「歯科疾患実態調査」で分かった。子供の虫歯も大幅に減り、9歳児の半分は永久歯に虫歯がなかった。同省は「歯に対する健康意識は高まっている」と分析している。
 この調査は57年から6年ごとに行われており、8回目となる今回は昨年11月、全国の約6900人を対象に行われた。
 歯の平均寿命は、男性が50.0-66.7歳、女性が49.4-66.2歳で、ともに大臼歯(きゅうし)が最も短く、犬歯が最も長かった。87年の調査と比較すると、5-9年延びた。
 自分の歯が20本以上残っている高齢者も増えている。75-79歳は17.5%、80歳以上は9.9%で、いずれも93年の前回調査と比べアップ。
80歳では15.3%と推定され、前回より4.4 ポイント上昇して、同省が掲げる目標値(20%)に近づいていた。
 一方、15歳未満で虫歯が急減している。特に小学生の児童でこの傾向が顕著で、永久歯が1度でも虫歯になったことがある割合を年齢別に見ると、12歳70.3%(前回83.9%)▽11歳57.5%(同、86.9%)▽10歳63.9%(同80.3%)▽9歳50.0%(同70.7%)▽8歳42.4%(同54.1%) --と、前回より大幅にダウンしている。
 同省は@少子化により、親が子供の歯の状態をこまめにチェックできるようになったA虫歯になりにくい甘味料を含む食品が増えた--ことなどが理由とみている。
 永久歯の虫歯の治療をしていない人は4.2%で、前回(6.7%)や前々回(8.8%)と比べて減少。治療率も上がっていることを裏付けた。
 歯を毎日磨く人は96.2%。回数は2回が最も多く、半数近くに上った。
読売新聞2000年6月3日
AZWELLメディカルトピックスNo.35 平成12年6月15日

健康に過ごせる「平均寿命」昨年生まれでWHOが試算
◆日本74.5歳で世界一、米国は70歳、韓国65歳

【ジュネーブ4日=三科清一郎】
 1999年生まれの新生児が健康な状態で送れる平均寿命は、日本人が74.5歳(女性77.2歳、男性71.9歳)でトップ。--世界保健機構(WHO)が、加盟191ヶ国について、平均寿命から病気や事故などで健康を損ねた年月を差し引いた「健康平均寿命」を試算した結果を4日、発表した。内戦が続き最も短いアフリカ・シエラレオネ(25.9歳)と比べると約3倍になるなど日本人の長寿ぶりが改めて裏付けられた。
 「健康平均寿命」は、WHOによる新指標で、これまで公表されてきた平均寿命の数値が死亡者のデータだけに頼っていたのに対し、病気の深刻さなどに応じてはじき出した「不健康な期間」を差し引き、「健康に生きられる期間」に焦点を合わせたのが特徴。
 WHOは日本人の長寿について、「伝統的に低脂肪の食事を取り、心臓病の比率も比較的低いため」と分析する一方、最近は肉食が増え、第二次大戦後に喫煙者が急増しているため、特に男性の平均寿命は「将来、影響を受ける恐れがある」と指摘している。
 上位国は日本以下、オーストラリア(73.2歳)、フランス(73.1歳)、スウェーデン(73歳)など。日本の男性の場合、死亡率から計算した平均寿命(77.6歳)の7.3%に当たる5.7年が健康でない状態と推進される。
 米国は70歳ちょうどで24位。比較的低い順位なのは、貧困層の健康状態が劣悪であるほか、エイズや喫煙に起因するがん、暴力事件などが影響しているという。アジア各国の順位はシンガポールが30位、(69.3歳)、韓国51位(65歳)、中国81位(62.3歳)など。
 風土病やエイズ禍に見舞われているアフリカ各国は50歳以下がほとんどで、マラウイ、ニジェール、シエラレオネの3カ国は30歳に満たないうえ、一生の二割以上の期間が不健康という計算になる。
日本経済新聞 2000年6月5日(月曜日)
「一杯の水」お忘れなく、体温上昇や血栓を防ぐ
暑さやスポーツで汗をかくことが多くなる季節。汗は体温の上昇を防ぐ重要な役割を持ち、汗をかいたら不足する体内の水分をすかさず補給しておくことが大切だ。とくに体の感覚が低下している高齢者は「のどが渇いた」というシグナルが表れる前に、コップ一杯の水をとることを心掛けたい。
 発汗はおもに体温を調節する機能をになっている。体温が急激に上昇すれば体内の代謝の変動をもたらすほか、熱に比較的弱い脳や神経系への打撃もある。体内の水分が不足して汗の出る量が少なくなると、熱が体内にこもり、熱障害を引き起こしやすくなる。
 成人男性の水分量は体重の約60%。女性は少し低くて55%。小児では体重の70%ほどだが、これは年齢とともに減り、60歳を過ぎると男性で50%程度になるという。
 通常、体重の2%前後に相当する水分が減ると口の渇きを感じるというから、このシグナルが表れたら水分の補給をすれば体温の上昇を防ぐことができる。
 ただ、60歳以上では体の水分量が減っているうえ、水分不足にやや鈍感になっているので、渇きを感じる前に水を飲むことが大切だ。戸外に出た時など軽く汗をかいたなと思ったら、ちゅうちょせずに水を飲むことを心掛けたい。  では、水分補給の際、飲むのは普通の水が良いのかスポーツドリンクなどが良いのか--。
 体のバランスを維持する要素の一つに血液の浸透圧があり、スポーツドリンクなどはこのバランスを保つのに良いと言われる。浸透圧は血液中の水分量やナトリウム、カリウムなど塩分の割合で左右される。
 しかし、東京慈恵会医科大学の鈴木政登医師(スポーツ医学)によれば、浸透圧は少々の水分不足などで大きく変動することはない。「汗で血液中の塩分が失われるのは炎天下でよほど激しい作業や運動をした時に限られるので、普通の発汗であれば真水をとるだけで十分だ」という。
 もちろん、炎天下でのテニスやマラソンでは、発汗の際に塩分も出るから、塩分入りのスポーツドリンクは効果がある。糖質の補給も大切なので、マラソン選手などが途中で塩分や糖質の入ったドリンクをとるのは合理的となる。
 また、夜寝る前に水を飲むのが良いということが最近よく言われる。睡眠中に発汗で体水分が失われ、血液の粘調度が高まり血栓などの危険が高まるからだ。
 良いからと言って、大量に飲むのも考えものだ。一度に多くの水をとると一時的に血液の浸透圧が低下し、腎(じん)臓が過剰の尿を出し二次脱水をもたらす恐れもある。「コップ一杯の水」が適量だろう。
 「積極的に水を飲んで、がんを防ごう」と呼び掛けているのは、浜松医科大学の高田明和教授。水を少し多めに飲んで、がんを引き起こす有害物質を排出しようというのだ。
 米ハーバード大の研究グループは、4万7千9百人余りの男性を対象にした約10年の調査をもとに、水分摂取と膀胱(ぼうこう)がんとの関係を昨年医学誌上で発表した。それによると、コップ一杯の水を1日に6回以上飲む人は、1回以下の人に比べ膀胱がんの危険率が半分程度だった。紅茶を1日2回以上飲む人は、1月に1回以下と極端に少ない人に比べ3割程度危険率が低いという。
 高田さんによれば、有害物質を排出するのに必要な水の摂取量は毎日2.4リットルほどと通常の2倍強。「思い出した時にもう一杯」の水が効果的だという。
編集委員 中村雅美
日本経済新聞 2000年6月3日(土曜日)

SPORTS健康学
ウォーキング5 続けて生活習慣病予防

 高齢者が急増している現代日本では、単に寿命が長いことよりも健康で充実した人生を楽しむという「健康寿命」がより大切だと言われている。背景には「自立した生活」を続けたいという高齢者自身の願望がある。そして自立した生活の原点は言うまでもなく「自分で歩く」ことである。  よく歩くと足(下半身)が鍛えられるが、歩かないと下半身から老化が進む。高齢者は時に転んで骨折をして寝たきりになる例がある。よく歩く人は下半身が強く、めったに転倒しない。また全身運動はカルシウムが骨に沈着するのを促進するので骨粗しょう症を予防し、転倒時の骨折も予防する。高齢者にとってウォーキングは「転ばぬ先のつえ」以上の効果なのだ。  さて現代は飽食の時代であり、だれでもが「食べ過ぎ・運動不足」になりがちだ。消費されなかった栄養物が血液中に多く残った状態は、高血糖症や糖尿病、高脂血症などの原因になる。その状態がさらに続くと、栄養物が体脂肪として蓄積されて肥満が進み、脂肪が血管内に詰まると動脈硬化や高血圧症を招くのである。以上の過程はやがて脳卒中や心臓病への道につながってしまう。  その疲れをストップさせ逆転させるのが各種の身体活動である。ウォーキングを数日継続すると、血糖値やコレステロール値は劇的に下がり、これらの症状から徐々に脱出することが期待できる。糖尿病や高血圧症をウォーキングによって克服した事例は多いが、成功のカギは「継続の努力」である。病気になってから治療に力を注ぐより、毎日の生活の中にウォーキングを定着させることで生活習慣病を予防できれば、それにこしたことはない。
九州保険福祉大教授 波多野 義郎 日本経済新聞 6月3日(土)  
SPORTS健康学
ウォーキング4 なぜ一万歩が目安か

 「健康のために一日一万歩歩こうという目標を知っていますか」と尋ねたところ、中高年者の九割が「はい」と答え、多くの人が「その知識は十年以上前から」と答えた。ではなぜ一万歩なのか?となると困る人が多いかもしれない。  簡単に言うと、一万歩は平均的体格の男性で約三百キロカロリーに相当する。これ以下の活動量だと、心臓や全身の筋肉が衰えて老化が早く進み、肥満、高血圧、心臓病など、運動不足起因の生活習慣病に陥りやすくなってしまう。つまり一万歩は「運動不足かどうか」の境界線に当たるわけだ。  もう四十年以上も前、二階建てバスの階段を上り下りしながら勤務する車掌は、運転手よりも心臓病の発生率やそれによる死亡率が著しく低いことに注目した英国人医師がいた。このモーリス医師は、肉体労働が多い職業のほうが健康的で、運動不足の職業のほうが寿命が短いことを最初に警告した功績により、後に国際オリンピック委員会(IOC)から表彰された。 ウォーキングを含めて運動やスポーツが健康維持に不可欠なことが、こうして明らかになったが、それでは「どれだけの運動が必要か」という疑問への答えが、三百キロカロリーなのである。ヒトはサルから進化した後もずっと動物なので、動かないと体調が悪くなり、健康を損なう。食欲不振、不眠症、高血圧、体力低下、などだが、これが習慣化すると心臓血管系疾患につながる。宇宙飛行士も運動不足による障害には勝てないので、人工衛星の中では一日三百キロカロリーの自転車こぎをさぼれない宿命である。  密室の自転車こぎに比べると、一万歩のウォーキングなら好きな所を訪ねることができるし、花鳥風月の素晴らしさ、動物との交流などを楽しめる。機械文明にどっぷりつかった「クルマ社会」では、運動不足解消のため意識的に歩くように努めないと、一日一万歩歩くことは不可能だろう。通勤時や朝夕のウォーキング、休日の歩け大会などが大きな意味を持つわけである。
九州保険福祉大教授 波多野 義郎 日本経済新聞 5月27日(土)
アレルギー疾患治療・研究の全国NW構築へ
 厚生省は12年度、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー疾患の病因解明と治療法の開発に向け、全国的な診療・研究ネットワークの構築に乗り出す。アトピーや花粉症などは、近年罹患の増加が目立つ一方、発病原因が不明で根治療法が確立されていない。厚生省では免疫・アレルギー疾患に関する研究費を昨年度より2億年増やすほか、最新の医療技術を普及させるため、全国の医療機関や研究機関、研究者間でネットワークを構築。日医を通じて、全国の医師会やアレルギー診療を標榜する医療機関などに研究成果を伝える。
 アレルギー対策は従来、厚生省、科学技術庁、農林水産省、文部省、環境庁などがそれぞれ研究を進めてきたが、今年度は省庁間連携を強化。国立相模原病院を中心に、既存の研究組織を越えた診療・研究ネットワークを構築する。免疫・アレルギーに関する厚生科学研究費も、前年度比2億円増の7億円を計上した。
 研究では、アトピー性皮膚炎、花粉症、気管支喘息、慢性関節リウマチなどの免疫、アレルギー疾患の原因、病態の解明、治療法の開発のほか、治療用医薬品開発のための基礎研究、遺伝子組み替え技術を応用した食品開発の3項目を推進。実態を把握するため、全国レベルの疫学調査にも着手する予定で、これらの成果や最新の医療技術はネットワークで共有するほか、国際シンポジウムで発表したり、日医を通じて全国の医療機関などに情報提供していく。
日医FAXニュース 1065号 2000年(平成12年)4月25日火曜日
喫煙警告 日本は0点 そのツケは国民医療費に
医療ジャーナリスト元産経新聞医学記者 大橋浩司
 年明けの新聞に「喫煙警告 米国が45カ国調査−日本0点」との記事が掲載されていた。米国の消費者団体が世界45カ国の米国産のたばこ外装に付された。”喫煙警告の強弱”の調査結果を英国の医学誌に発表したもので、それによると、カナダでは「喫煙は死につながる」。オーストラリアでは、「たばこで死ぬ危険は交通事故の4倍」など、はっきりした形で消費者に伝えている。
 これに対して、日本の警告は「健康を損なうおそれがありますので吸いすぎに注意しましょう」とあって、これは「何も警告していないのと等しい」と0点の評価である。ちなみに10点満点はノルウェーと南アフリカ、9点がタイ、8点がカナダ・・・とつづき、0点の評価は日本のほか、ケニア、ウクライナなど17カ国である。
 同じような内容は「現代たばこ戦争」=伊佐山芳郎著・岩波新書=に掲載されているが、10点満点の南アフリカでは、ラジオによる禁煙コマーシャルのほか、たばこの税金を上げることで94年から97年の4年間に喫煙者率が15%減少したと報告されている。
 日本の喫煙の実態はどうか。97年7月に東京都が行った「健康に関する調査」がある。それによると、20歳代の女性の喫煙者率は33.3%(94年の調査で13.7%)。30歳代女性で28.9%。40歳代で26.3%で、いずれも増加傾向にある。咽頭がん治療の権威で、府立成人病センター名誉総長の佐藤武男先生は、20歳代の30%を越える喫煙者率について「30年、40年先の将来にものすごいツケとして跳ね返ってきますよ」と心配している。
 佐藤先生によると、咽頭がんは60歳を過ぎてから発病することが多く、しかもその99%は過去の喫煙者だという。「たばこがなくなれば咽頭がんもなくなります」とまで、断言している。
 女性の数字だけでなく、男性の喫煙率も50%を越えている。厚生省の「健康日本21計画」では2010年までに成人喫煙者率を半減させる戦略を検討しているそうだが「喫煙は個人の人生観、健康観の問題で行政が口出しするのはおせっかい」という愛煙家もいて、これから先、喫煙者率が減るという保証もない。
 となれば、たばこの害が明らかであるかぎり、例えば、咽頭がん、肺がん、肺気腫などの疾病が減るという保証もない。さきの佐藤先生の話しのように、やがては大きなツケ(医療費)になって跳ね返ってくることになる。
 国民医療費が年間30兆円を越えるところまできている。その対策がやかましく叫ばれているが、将来の疾病を防ぐための啓蒙というか予防医学としての対策はあまりにもお粗末ではないか。かりに20歳代、30歳代の若年層の喫煙の常用習慣に歯止めをかけることができれば、将来の国民医療費は相当軽減するはずである。
 日本の喫煙者率の高さや警告表示のなまぬるさだけをみれば、開発途上国並みと言える。こうした現象に例えば、厚生省などから、強いアピールが伝わってこないのは、どうしてだろうか。
大阪府医ニュース(昭和25年9月7日第三種郵便許可)
第2154号 平成12年2月23日(毎週水曜日発行)

ぜんそくの仕組み解明
京大と岐阜薬科大 新薬に応用も
 京都大学と岐阜薬科大学は共同で、アレルギー性ぜんそくが起きる仕組みを解明した。マウスを使った実験でぜんそくを引き起こす物質を突き止めた。この物質は花粉症や鼻炎など他のアレルギー性の病気にも関係していると見られる。ぜんそくを含めアレルギー性疾患の症状を押さえる新薬の開発に役立ちそうだ。
 京都医学研究科の成宮周教授らの研究チームは、ぜんそくの発作時に患者の体内でプロスタグラジンD2(PGD2)と呼ぶ生理活性物質が大量に作られていることに注目。PGD2が体内で結合する受容体と呼ぶたんぱく質を遺伝子操作でできなくしたマウスを使って、PGD2がどんな働きをしているか調べた。
 通常のマウスにアレルギー性ぜんそくを引き起こす物質(アレルゲン)を投与すると、気管内に粘液が出たり気管が過敏になったりする症状が出た。一方、受容体の無いマウスでは症状が表れず、PGD2がアレルギー性ぜんそくの引き金を引いていることがわかった。アレルゲンが体内に入ると、肥満細胞と呼ぶ細胞がPGD2を放出し、PGD2が受容体にくっついて症状を引き起こすという。
 受容体とPGD2が結合できないような物質を見つければ、症状を抑制できると考えられる。こうした薬は現在、複数の製薬会社が開発中という。研究成果は米科学誌「サイエンス」の最新号に発表した。
[日経新聞2000年3月20日]の掲載より


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