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体のシグナル
中耳のアレルギー 喘息の好酸球が原因
Aさん(43)は大人になってから喘息(ぜんそく)に悩まされていたが、このごろはステロイド薬の吸入でほとんど発作は起きていない。ただ最近、両耳の詰まった感じを自覚するようになり、携帯電話が聞こえにくくなった。
近くの耳鼻咽喉(いんこう)科医院を受診すると、滲出(しんしゅつ)性中耳炎と言われて鼓膜切開を受けた。ところが鼓膜の奥にたまった粘液が吸い取れない。液を出すためにチューブを入れてもらったが、すぐに外れてしまい耳漏が続くようになった。
そこでAさんは総合病院の耳鼻咽喉科を紹介された。医師が粘りのあるニカワ状の耳漏を調べたところ、大量の好酸という細胞が含まれていることがわかり、好酸球性中耳炎と診断された。これは中耳のアレルギーだ。
喘息は好酸球による気管粘膜の炎症。好酸球性中耳炎は好酸球による中耳粘膜の炎症である。好酸球性中耳炎は喘息を持っている人に発症しやすい。喘息を吸入ステロイドで治療していると、気管の好酸球が中耳に逃げていって悪さをするのではないかとも言われている。両耳の詰まった感じで発症することが多く、好酸球を含む粘りのある耳漏が出て治りにくい。放置していると聴力が悪化していくが、手術は効果が少ない。
Aさんはまず経口ステロイド薬を服用、次いで鼓膜にチューブを入れてステロイドを注入し、ニカワ状の耳漏はほとんど出なくなった。今は少量のステロイドを服用しながら元気に暮らしている。
(徳島大学医学部教授 武田 憲昭)
日本経済新聞 2004年12月28日夕刊

はつらつ養生訓
風邪をふせぎ早めにワクチンを
 季節の変わり目には体調を崩すこととが多い。急に寒くなるときには風邪にかかりやすい。貝原益軒も『養生訓』の中で「風邪をふせぎ、(中略)痰咳(たんせき)のうれひをまぬがるべし」と注意を呼びかけている。
風邪は予防が第一だ。ウイルスは低温、低湿の環境を好む。室内の空気が乾燥しているとウイルスが長時間、室内を漂うことになる。加湿器で適度な湿度を保つような工夫が必要だ。なるべく人込みを避け、帰宅したらうがいを心がける。のどの乾燥を防ぎ、手洗いして接触感染を防ぐ。十分眠り、ビタミン類もたっぷり取ること。
 治療は体を暖かくして安静を保ち、水分を十分に補給することが基本となる。鼻水、のどの痛み、たんとせき、頭痛、発熱などに対しては、せき止めや抗アレルギー薬、鎮痛解熱剤などで対処するが、ぜんそく患者の場合は鎮痛解熱剤で発作を誘発することがある。小童ではアスピリンで急性脳症の副作用を起こすこともある。鎮痛解熱剤が必要な場合、最近は副作用が比較的少ないアセトアミノフェンを使うことが多い。
 風邪はほとんどがウイルス感染である。基本的に抗生剤は効かない。しかし気管支炎、肺炎、へんとう炎やへんとう周囲炎などの二次性の細菌感染を起こすこともある。こうした場合には迅速な抗生剤治療が必要になる。アレルギー性鼻炎や肝炎などの初期症状では風邪と見違うことがあるので注意が必要だ。
 この季節に怖いのがインフルエンザ。高齢者などは死亡することもある。急激に発症し、悪寒とともに38度以上の発熱が出る。体がだるくなり、関節痛や筋肉痛、頭痛も起きる。せき、のどの痛み、鼻水、くしゃみのような風邪症状を伴うことも多い
。  抗ウイルス剤は発症48時間内に使わなければ効果が少ない。迅速に診断するキットを準備している医療機関も多いので、疑いがあるときは悪化しないうちに受診する。今年も流行が心配される。予防にはワクチンの接種が効果的で、特に高齢者や心臓病やぜんそくなどの呼吸器疾患の人は早めに接種しておこう。
(国立長寿医療センター疫学研究部長 下方 浩史)
日本経済新聞 2004年11月7日夕刊

ハムスターにかまれ死亡
今年2月、埼玉の40代男性
傷口から唾液、アレルギー誘発
埼玉県に住む40代の男性が今年2月、飼っていたハムスターに指をかまれた直後に意識不明となり、搬送先の病院で死亡していたことが27日までに分かった。傷口からハムスターの唾液(だえき)が体内に入り、急激なアレルギー反応である「アナフィラキシー」が発生、持病のぜんそくを誘発したという。
ハムスターなどペットの齧歯(げっし)類にかまれたのが原因のアナフィラキシーは1995年以降、広島県など全国で17人報告され、16人は大事に至らなかったが、一人は植物状態になった。かまれた直後の死亡例は初めてとみられる。
診察した清田和也さいたま赤十字病院救命救急センター長は「常に起きるわけではないが、アレルギー体質の人や、かまれる危険の高い獣医師は気を付けた方がいい」と注意を呼び掛けている。
アナフィラキシーは、タンパク質などの異物が何度も体に入ることで、その異物に対し体の免疫システムが過敏になることで起きる。
食物など一般的には無害なものでも原因になることがある。
男性は四、五年前からジャンガリアンハムスターを飼い、何度もかまれていた。当日は、自宅で左手の指をかまれた後にせき込み、数十分後に倒れているのを家族が発見。病院に運ばれた時には、心肺停止状態で助からなかった。
男性の臓器や血液を調べたところ、アレルギーの際に多くみられる白血球の一種が見つかり、ハムスターのタンパク質への強い反応も確認された。アナフィラキシーで持病のぜんそくが誘発され、窒息死したらしい。
●アナフィラキシー 以前にさらされた薬物やタンパク質などの異物に過敏になっているときに、同じ異物に再接触して起きる急性アレルギー反応。注射や飲み薬、食物、ハチ刺されなどが原因になる。呼吸困難やめまい、意識障害を伴うことがあり、血圧低下などのショック症状を起こして死亡することもある。
日本経済新聞 2004年9月27日夕刊

喘息発作、原因は「好酸球(白血球の一種)」
米の2グループ発表・・・・治療法開発に期待
 白血球の一種である「好酸球」が喘息(ぜんそく)の発作で決定的な役割を果たしていることを、米国の二つのグループがそれぞれ突き止め、17日付米科学誌サイエンスに発表した。喘息の新たな治療法開発や他のアレルギー疾患の原因解明につながる成果として期待されている。
 喘息は気管支の慢性的な炎症が原因で発作的に呼吸困難を起こす病気。日本では約150万人の患者がいるとみられ、毎年約6000人が喘息の発作で亡くなっている。
 喘息の患者の気管支からはアレルギー症状と関与する好酸球が大量に見つかることが知られていた。そこで米メイヨー・クリニックのジェームズ・リー氏らのグループと米ハーバード大医学部のアリソン・ハンブルズ氏らのグループはそれぞれ、遺伝子操作で好酸球が体内にできないようにしたマウスを使った実験で、好酸球と発作の関係を調べた。
研究グループはこれらのマウスに喘息の引き金になる原因物質(アレルゲン)を与えたが、喘息の特徴的な症状である気管支からの粘液の過剰分泌などは起きなかった。リー氏らは好酸球が発作に深く関与していることがわかったとしたうえで「これまで見過ごされてきた新たな治療法の開発につながる」と強調している。
(ワシントン=吉田透)
日本経済新聞 2004年9月17日朝刊

脳卒中の予防 禁煙が第一
くも膜下出血の危険性3.6倍に
 たばこを吸う人は吸わない人に比べ、男性で3.6倍、女性で2.7倍、脳卒中の一種のくも膜下出血になりやすいことが、厚生労働省研究班の大規模疫学調査で24日までに、分かった。
 脳卒中全体でも喫煙者の発症率が高かった。たばこを吸わなければ、日本で年間約16万人の脳卒中を予防でき、約1万5千人の死亡を防ぐことができる計算という。
 研究班は4、50代の日本人男女約4万2千人を1990年から11年間追跡。喫煙と脳卒中の関係を調べた。
 喫煙との関係が最も大きかったくも膜下出血の場合、非喫煙者に比べ、喫煙本数が一日20本未満の男性は3.2倍、20本以上40本未満の男性は3.8倍、それぞれ発症率が高かった。
 脳の太い血管が詰まる「大血管脳梗塞(こうそく)」、細い血管が詰まる「ラクナ梗塞」も同じ傾向。男性の喫煙者は非喫煙者に比べ発症率がそれぞれ2.2倍、1.5倍高かった。どちらも一日の本数が40本以上になると、発症率は2倍を超えた。
 研究班の万波俊文香川大医学部助教授は「脳卒中の予防は禁煙が第一で、塩分を控えた食事や血圧のコントロールなども重要」と話している。
日本経済新聞 2004年8月25日朝刊

35%にアレルギー様症状−2003年保健福祉動向調査−
 厚生労働省が6月3日発表した「2003年保健福祉動向調査(アレルギー様症状)の概況」によると、皮膚・呼吸器・目鼻の3つのアレルギー様症状(3症状)のうち、過去1年間にいずれかの症状があった人は35.9%にのぼることが分かった。そのうち医療機関に入通院している人は20.9%で、ひとつでもアレルギー性の病気と診断された人は14.7%だった。またいずれかの症状があった人は、大都市9.4%に対して郡部31.1%と、大都市の割合が多かった。
 調査は、1987年から毎年テーマを変えて実施している。03年は「アレルギー様症状」について国民の実態や意識を調べた。全国の世帯員を対象に4万1159人に調査し、3万6509人から回答を得た(回収率88.7%)。調査日は03年6月5日。
 結果によると、過去1年間に3症状のいずれかがあった人は全体で35.9%。男性34.3%、女性37.4%と女性の割合が高い。年齢階級別では、男性が「5〜9歳」(45.8%)、女性は「35〜44歳」(44.6%)が最多となった。また大都市と郡部を比較すると、すべての年齢階級で大都市の方が多い。特に「25〜34歳」「35〜44歳}では10ポイントの差がある。
 3症状のいずれかがあった人のうち、医療機関でひとつでもアレルギーと診断された人(12歳以上)が日頃最も多く実行していることは、皮膚では男女ともに、「化粧品・石けんや洗剤に気を付けている」だった。呼吸器と目鼻では、男性が「休養や睡眠を十分にとっている」のに対し、女性は「こまめに掃除している」が最も多かった。
 治療方法はすべての症状で「医療機関に入通院している」「売薬を使用した」が大半を占めるが、呼吸器では医療機関への入通院(71.3%)が売薬の使用(14.7%)の約5倍だった。
大阪府医ニュース 2004年6月16日

からだのお話
ぜんそくの人が運動楽しむには…
無理は禁物、まず体を温めて

プロゴルファーの福嶋晃子とスピードスケートの金メダリスト清水宏保。二人の共通点は? 答えは「持病がぜんそく」ということ。ぜんそくは発作が起きると気管支が狭くなり、呼吸の際に「ゼイゼイ」というぜん鳴やせきが止まらず、息が苦しくなる。症状が重いと死に至ることもある。多くは子供のころに発症して完治しにくいが、そんな病気に苦しんでいても、世界で戦うトップアスリートにだってなれるのだ。野球界でも元西鉄の中西太、元大リーグ・ダイヤモンドバックスの中継ぎ投手のフェーターズら、ぜんそくが持病の選手は珍しくない。
だが、激しい運動はしばしば発作の引き金になる。昭和大学病院の北林耐医師は「激しい呼吸で気管支の空気の通り道が冷えて乾燥するのが刺激となり、気管支が狭くなるのです」と説明する。特に、寒くて空気の乾燥した冬の朝、急にジョギングなどを始めるのはよくない。一度発作を起こすと、軽い刺激でも再発しやすくなってしまう。
このため、患者はスポーツから遠ざかりがちだが、「それぞれの体調に合わせたスポーツをすればだいじょうぶ」と北林医師。運動を習慣化し、心肺機能を強化すれば発作を抑え込むことも可能になる。ただ、準備体操やウオーキングなどでゆっくりと体を温めてから取りかかること。
湿度、温度の高い室内プールで体を動かす水泳は有効。東京女子医大スポーツ健康医学センターの浅井利夫教授は、ぜんそくに苦しむ小学生二十人を夏休みに毎日一時間泳がせた。すると、薬が不要になるまで回復した児童が三人、発作が軽くなったのが九人。「運動が楽しくなった」子も八人いた(複数回答)。
浅井教授は「薬で症状を管理した上で運動すれば、発作を起こしにくくする体が作れる」と指摘する。清水は発作止めを携行し、「自分を実験台二して(限界を)試してみたい」と話している。ぜんそくに無理は禁物だが、怖がりすぎることもないのである。
(奈良部光則)
日本経済新聞 2004年4月28日夕刊

体のシグナル・・・・咳
掃除不足で喘息にも

Iさん(22歳、男性)は一人暮らしの大学生。最近、ひどく咳込むことが多くなった。咳が始まるとなかなか止まらない。熱が出たり元気がなくなったりするわけではないので、気にしていなかった。もともと、病気には縁がなく、それにサークル活動やアルバイト、勉学がとても忙しいので、医療機関を訪れるきにはなれなかった。
しかし、次第に夜間の咳がひどくなってきたので、さすがに少し心配になってきた。ある晩、例によって咳がひどくなってきたと思ったら、息をするたびにひゅうひゅうという音がして呼吸が苦しくなった。一晩中がまんしていたが、明け方に、とうとう耐えきれなくなり、救急車で病院に運んでもらった。
健康には自信があったIさんにはショックだった。救急病院では喘息(ぜんそく)の疑いがあるといわれた。詳しく調べた結果。Iさんは家の中のほこりやダニに強いアレルギー反応を起こしており、そのために喘息の症状が出ていることがわかった。
医師から家の状況を詳しく聞かされたIさんはアパートに入居して以来一度も、しっかり掃除をしていないことに気がついた。特にカーペットの掃除は表面のごみを、ぬぐうだけで済ませてきた。
部屋の大掃除をしてから、Iさんの症状は、すっかり良くなった。しかし時々あの夜の苦しさを思い出して、ぞっとする。文字通り死と隣り合わせであったことを後から聞き、今になって恐ろしく感じられるのである。
(大阪大学大学院医学系研究科助教授 平出 敦)
日本経済新聞 2004年3月16日夕刊

日本は平均寿命、健康寿命とも世界一
−世界保健報告03年版−

 WHO(世界保健機関)は12月20日までに、世界保健報告2003年版をまとめ、公表した。それによると日本の平均寿命は男性78.4歳、女性が85.3歳、健康寿命も男性72.3歳、女性77.7歳と、いずれも世界トップだった。報告では、最長寿国の日本と、平均寿命が34歳と世界で最も短い西アフリカのシエラレオネとを比較し、世界的な健康格差を埋める必要性を指摘した。
 世界保健報告は、日本とシエラレオネとを比較。シエラレオネなどの開発途上国では、周産期や伝染病、栄養不良による死亡率が高いこと、サハラより南部のアフリカではHIV/AIDSの流行により、乳幼児の死因の8%程度を占めるとした。その上で、長く健全な生活を続けるための最小限の条件として、@有効な健康増進と疾病予防サービスA質の高いサービスへのアクセス―等を列挙、SARS(重症急性呼吸器症候群)で取り組んだ世界的な情報共有のシステムが今後の対策に有用と強調している。(12月22日付)
大阪府医ニュース 2004年1月14日

3年連続出生数過去最低、少子化に歯止めかからず
−03年人口動態推計−

 厚生労働省統計情報部が1月1日発表した「2003年度人口動態統計の年間推計」によると、出生数は112万1000人(前年比3万3000人減)で、3年連続で過去最低を更新し、減少幅も昨年(1万6807人減)より倍増するなど、依然として少子化に歯止めがかかっていない状況が明らかになった。合計特殊出生率は6月頃発表の見通しだが、02年の1.32を下回る可能性が高い。死亡数は102万5000人(同4万3000人増)で、統計を開始した1947年を除き初めて100万人を超えた。統計情報部は死亡数の急増の原因として、03年の大規模なインフルエンザ流行の影響が考えられるとした。出生率から死亡数を引いた自然増加数9万6000人(同7万5000人減)は、統計開始以降初めて10万人を割り込み、過去最低となった。
 同統計は、出生、死亡、婚姻、離婚、死産など、人口動態事象を把握することを目的としている。03年1月〜10月の速報値をもとに03年の1年間を推計している。
3大死因をみると、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患――の順となった。この順位はICD改正のため、心疾患と脳血管疾患の順位が入れ替わった95年を除き、85年以来19年間変わっていない。死産は3万5000胎(前年比2000胎減)、出産千対30.3(同0.8減)と、ともに過去最低となった。理由には、医療技術の進歩などが挙げられる。
 婚姻数は73万7000組(同2万組減)となった。統計情報部は、ここ数年の婚姻数の減少は、第二次ベビーブームで生まれた人が既に29〜32歳を迎え、ベビーブーム以降の急激な出生数の減少の影響が出ていると分析した。離婚数は28万6000組(同4000組減)で明治以来最低となった02年に続き2番目に低い値となった。離婚数の減少は90年以来13年ぶり。
 03年は、28秒に1人が生まれ、31秒に1人が死に、15分1秒に1人が死産となり、43秒に1組が結婚し、1分50秒に1組が離婚した計算になる。(平成16年1月5日付)
大阪府医ニュース 2004年1月14日

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