MAN会報
イタリアを旅して
理事 吉岡 孝子

 年を取ると、美しいもの・可愛いもの・感動するもの、だけを見て暮らしていきたい。そんな贅沢な望みを抱いて私と妹は、イタリア10日間2500qのバスの旅に出かけた。添乗員は私達にまず、日本の物差しでイタリアをみないこと、風土や気質、ユーロ通貨圏の問題、歴史の問題等この国を理解する趣旨の話をしてくれた。美しい南イタリアのナポリはカプリ島、次いでアマルフィからポンペイへ。小さな路地を抜けると眼下に広がる洞窟住居。
 教会の横を抜けると可愛い丸屋根のアルベロベッロの街並み。日本とのスケールの違いに感動することしきり。
 日本が邪馬台国の時代にイタリアはどこまで進歩していたのか。唯々その格差に唖然とするだけであった。
 しかし、移動すればするほどイタリアと日本の困った違いに遭遇していくのである。遺跡のため、駐車場が作れず、何処に行っても路地の両側は車に埋め尽くされていた。どうやって停めるのかなと思っていたら、テレビで見たあれをやっている女性を見た。車の前後をぶっつけながら隙間に停めていくあれである。バスの中では必ずスリやジプシーへの注意喚起がある。ジプシー(現在は差別用語になっている)は、中世と変わらない服装をしているので一目で分る。トレビの泉に投げるコインは予め手に用意しておくこと。財布は無暗に出して持ち歩かない。鞄は背負わないで前に掛ける。口が酸っぱくなるほど言われる。チップに慣れていない私は、毎日チップの小銭を用意するためにお釣を計算しながら買い物をした。ベネチアでゴンドラに乗った時、「チップは帽子の中へ」と先に言われる。途中でお湯の出なくなるシャワーのあるホテルに置いていくる枕の下のチップ。ホテルやレストラン以外便座のないトイレ。お金を徴収するきれいでないトイレ。美味しい水をただで頂き、綺麗なトイレをただで使う日本の常識からは考えられない事がいっぱいあったが、有難う・ごめんなさいが、直ぐに口に出る生活習慣は、私達には無いものであった。日曜日や夜に働くと罰せられる。何時も働いている日本人と比べ何が幸せなのか考えさせられた。風景だけでなく、いろんな意味で驚きと感動のイタリアであった。


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