MAN会報
不活着その六(まだ生きてるよ)
理事 小森 恭彦

 6月に2週間の予定で大連交通大学に短期留学しました。ここにはもう10回以上も来ていて、老師(先生の意)や門衛さんとも顔馴染みです。今回の目的は(1)以前ここで知り合った九州の有名進学校の元高校教師と旧交を温める事、(2)日本で読んでいる(9月17日現在453冊読破)中国語の小説の補充購入、(3)中国語の勉強、(4)夜の実地の中国語の勉強です。来てまず驚いたのは、生徒とクラスの減少でした。従来8〜9班あったのが、初級、中級、高級の3班のみです。小生は高級班で勉強していましたが、まともに教科書も読めない者が多くいて、レベルの低さは目を覆うばかりです。こうなった理由は、去年の冬のある事件でした。80歳過ぎの学生が行き倒れ、病院で連絡先として大学の名前を言いました。その後、彼は亡くなり、海外保険未加入だった為、大学に莫大な医療費の請求が来ました。大学は立て替え、後にそれと遺骨の引き取りを日本の息子さんに求めましたが、息子は両方とも拒否し、結局医療費は大学の負担となりました。
 そこで大学は65歳以上は入学を断ろうとしたのですが、そうすると学生は20数名となり、経営が成り立ちません。また、学生もいまさら他の大学へ行けないので大騒ぎし、次の三つの条件で入学を許可される事になりました。(1)海外保険の加入、(2)身元保証人の保証書提出、(3)身体が健康な者。また、大学は東南アジアの某大学と学生受け入れの契約をしました。これは老人は来てくれるなと言う事です。成績優秀者は台湾やシンガポールの大学へ転校しました。小生も迷惑がられているのを感じたので、預けていた荷物を整理して帰国しました。なお、言うまでもなく旧友との親交、昼と夜との勉強は真面目にしっかりしてきました。今後は、大学に行かずに、年数回程度本を買いにだけ行くつもりです。最後に、癌、緑内障、喘息等を患っていた私を、ここまで元気にして頂いた医師の先生方に感謝いたします。非常感謝、再見。
*中国にしかない漢字、不にシンニュウと書く。「まだ生きている」の意味(タイトルの[不活着]の不は原稿では不にシンニュウです。)


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