MAN会報
食物礼賛 その7
― 免疫力を高める食品 ―


理事 藤田 きみゑ

 昨年度から今年にかけて、何かおかしい気象が続いています。暑くなると次の日は寒い、寒いと思っていたらまた暑くなる。さらに、夜と昼との寒暖の差が10℃を超える日が続くといった按配で、冬物と春物を交互に着用する日々が続きました。4月には花冷えならぬ花寒の中で、台風のような春一番が御堂筋の銀杏の大枝を折り、5月を迎えたとたんに、夏の日差しがやって来ました。このように、ころころと変わるお天気は、どうしても体調を崩し勝ちです。また、花粉と公害物質付きの黄砂の影響もあって、患者さんの中にも気道感染を起こしたり、頑固な咳が止まらず来院される方が増えました。
 このような環境下においても、病気を悪化させない体作りが求められます。そこで、今回は免疫力を高める食品についてお知らせします。
1.効果と有効成分
 免疫力を高めることにより得られる効果としては、@ 免疫細胞の活性化により、ガンになりにくい体を作る。A ウイルスや細菌に対応し、炎症を起こしにくい体を作る。B 公害物質や重金属の排泄を促す。C 細胞の老化を抑制する。などが挙げられます。ではどの様な食品群がこれに当たるのでしょうか。
 まず第1にはタンパク質を含む食品が挙げられます。この食品の有効成分は抗体の運搬やリンパ組織を維持するタンパク質で、食品目としては肉、魚、卵、豆腐などが挙げられます。第2は免疫力を活性化させる成分を含む食品です。有効成分は以前にこの紙面で紹介したフエィトケミカルや多糖類を含む品目で、多くの野菜やきのこ、海藻、乳酸菌などに含まれます。第3にフリーラジカルを制御する抗酸化成分を含む食品ですが、この有効成分はビタミン類やフエィトケミカルであり、多くの野菜、大豆、果物などに含まれています。第4はミネラルを含む食品群であり、有効成分は、免疫細胞の増殖や活性化をする亜鉛やセレンなどのミネラルが挙げられます。これらを含む食品としては、魚介、卵、牛乳、肉、大豆、穀類、野菜、果物などがありますが、亜鉛源としては特に、かき、にしん、蛤、ホタテ貝、あさり、しじみなどがお勧めです。
 最後の5番目は、腸内細菌叢(腸の中に常在し、ヒトの消化吸収や腸内環境の維持、ビタミンKなどの産成を行う細菌群)のバランスを保つ食品が挙げられます。その有効成分は人体に有効に働く乳酸菌、納豆菌、ビフイズス菌、麹菌などの善玉菌と、その育成を補助する食物繊維であり、ヨーグルト、ケフィア、納豆、みそ、鮒ずし、芋、野菜などがこれに含まれます。
 効率的な食品摂取方法は、これら1から5までの食品目をバランスよく摂ることですが、肉や魚、卵、牛乳などは通常の食事で必要量を摂っていることが多く、その一方で、野菜は不足しがちなため、野菜を意識して摂ることが免疫力を高める鍵となります。また、野菜を多く摂る利点は、野菜に抗酸化物質として働くV.A(ァ-カロテン)、V.C、V.Eなどのビタミン類、カルシウム、鉄、カリウム、セレンなどのミネラル類、セルロース、ペクチン、リグナン、グルカンなどの食物繊維や、リコピン、アントシアニン、カテキン、ケルセチンなどのフェイトケミカル類が多く含まれているからです。
2.ガンを予防するデザイナーフーズ
    デザイナーフーズとは、野菜、果物、香辛料、穀類などの植物性食品に含まれる成分が、ガン予防に効果があるか否かを科学的に解明するために、1990年代から米国国立ガン研究所が中心となり進めているプロジェクトです。数多くの研究により、現在では抗ガン作用が期待される様々な食品が明らかにされ、その効果の強さが3段階で表示されています。
3.米国デザイナーフーズの段階
 デザイナーフーズの段階は免疫力強化度により3段階に分類されています。また、第3段階最上部が最も免疫強化に強く働く食品となっています。

 ニンニクや生姜、玉ねぎ、ねぎ類、大葉などは、魚介類から取り込みやすい水銀や鉛、カドミウムなどの重金属を体外に排泄する働きのある野菜として有名です。このため、魚介類や肉類を摂取する時には、これらの品目を効率よく摂ることが勧められます。また、甘草はグリチルリチンを含み、数多くの漢方薬の基礎となる薬剤で、肝庇護剤としても有名です。4月8日の花祭りにお釈迦様にかける甘茶は甘草を煎じたお茶です。
 表1.の中に出てくるターメリック、タラゴン、ローズマリー、セージなどは全て、香辛料として香り付けや、防腐、防菌の目的で使用されるものです。また、表示されている多くの野菜が独特の香りや苦みを持っていることが解ります。
4.日本人に馴染み深く同様の効果が期待できる品目
 表1.は米国で主に使用されている品目を分類したものですが、我が国にも免疫力強化に働く品目があります。その種類を表2.に示しました。
この表2.はデザイナーフーズ 計画に参加されている大澤俊彦先生の研究結果によるものです。
 最近、ブロッコリースプラウトが流行っており、その効果が着目されていますが、私自身が着目している野菜としては、明日葉(あしたば)とゴーヤ、そして、ふきのとうがあります。何れも独特の香りと苦みがあり、調理法も限られていますが、ふきのとう味噌などで是非とも食卓に加えて頂きたい品目です。
(滋賀県立大学名誉教授)

【参考文献】
くらしの生薬:後藤 寶著,山田光胤監修 たにぐち書店
免疫力を高める野菜おかず139:編集:ベターホーム協会 ベターホーム出版局


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