MAN会報
食物礼賛 その5
−風邪への対応 −


理事 藤田 きみゑ

 3月11日午後2時16分に起こった東日本大震災は死者13,517人、行方不明者11,432人、建物被害357,056戸、大人のみならず子供や幼児、乳児までも被害にあうという未曾有の災害となりました(4月27日の警視庁のまとめ)。この地震により肉親や親戚の方を亡くされた方々に哀悼の意を表すると共に、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
 その後のニュースでは、倒壊した建物から生じる粉塵などが津波によって汚泥となり、それが乾燥し空気中に飛散して気道を刺激することや、非衛生な避難所での空気感染により、風邪などの呼吸器感染症が多発しているとの報道がありました。また、関西においても、時はあたかも花粉シーズンであり、杉や檜(ひのき)の花粉が飛び交い、それに加えて、中国大陸からは公害物質が付着した黄砂が飛来するという状況です。さらに、A型インフルエンザやB型インフルエンザが静かに流行するというこの3方責めにより、体調を崩された方も多いように思います。このようなことから今回は、風邪の民間療法についてお知らせいたします。
 昔から、暴飲暴食や偏食、栄養不良などの食生活の乱れにより風邪に罹りやすくなるといわれています。特に春先にはホルモンの働きも活発になることから、体がビタミンやミネラルなど多くの栄養素を必要としますが、それが補われないと体調を崩す元となります。また、これに過重なストレスや睡眠不足が重なると、寝込むような羽目に陥りやすくなるので気をつけてください。

1.食事の注意点

 風邪をひいたら栄養を摂らなくてはと、肉や卵をつい多く摂るのは逆効果です。むしろ油を余り用いない、消化の良い食べ物がお勧めです。従って、風邪の引き始めや発熱時には、お粥や野菜スープなど胃腸に負担のかからない食事が効果的です。また、体力が落ち込んでいる、あるいは虚弱な方には玄米スープや玄米クリームがお勧めです。1〜2日間はこのような食事とし、食欲が出れば白身の魚や豆腐料理、卵、野菜の煮付けなどを加えます。もちろん卵酒以外のアルコールは厳禁、タバコもいけません。
玄米スープ:玄米を洗って水を切り、フライパンできつね色にゆっくりと弱火で炒ります。玄米が少しはじけるようになれば、火を止めて、玄米1合に対して水7合を加え、ゆっくりとおかゆ状にします。これを裏ごしにしたものに水を加えスープ状にします。更に加熱し、自然塩を少し加えて薄味とします。
玄米クリーム : 市販されている炒り玄米粉(自然食品店にて販売されています)に水を加え、煮てお粥状にします。自然塩を少々加えて薄味とします。

2.各風邪症状の対処法

大根湯:発熱したときの対応法としては大根湯が有名です。おろし大根を大さじ大盛り3杯、おろし生姜小さじ1杯に生醤油(純正の自然発酵の醤油)大さじ1杯程度を加え、熱い番茶もしくは熱湯を注ぎます。醤油の割合はみそ汁より少し薄い目の味付けになるようにして下さい。熱々をヤケドをしないように一度に飲み、体を暖かくして休みます。汗をかいたら着替えさせ、梅干し番茶か醤油番茶、梅醤番茶を飲ませます。大根湯は発熱時のみに使用される対処法であり、熱が出ない鼻水や咳のみの風邪には用いません。大根湯の服用は体力がある人には問題ないのですが、体力が落ちている、あるいは虚弱な方には最初の発熱時のみに使用し、何回も用いないようにして下さい。また、咳が非常に強い時には大根の種を炒ってすり鉢で粉にし、これを小さじ3杯ずつ1日数回、番茶で服用します。この療法は百日咳のように強い咳が持続する時に用いられていました。
梅干し番茶:風邪の引き始めには味付けしていない昔からの塩辛く酸っぱい梅干し1個をつぶし、熱い番茶を200ccほど注いで飲みます。血行を良くし、疲れを取ります。腹痛を緩和したり、胃腸を整える働きがあります。
醤油番茶:生醤油を2滴ほどコップにたらし、熱々の番茶を150ccほど注ぎ飲みます。これも梅干し番茶と同じ効果があります。虚弱者は入浴の前に飲むと入浴疲れを和らげます。
梅醤番茶:梅干し1個をつぶし、おろし生姜を少量加えて熱い番茶を200ccほど注いで飲みます。下痢がある時や胃腸障害のある時に効果的です。生まれつき色黒の人の風邪の引き始めには、梅干しを黒焼きにして醤油を少々加え、熱い番茶を注いで飲むのが効果的であり、生まれつき色白の方には熱い卵酒が効果的とされています。
梅肉エキス:誰にでも効果的なのは梅肉エキスです。市販の梅肉エキスを大豆大ほどスプーンに取り、コップに入れ、熱湯を200ccほど注いで1日3回飲みます。細菌感染(肺炎などの混合感染)を予防し、胃腸を整えます。
黒豆療法:風邪をこじらせた時には黒豆10g、よもぎ10gを煎じて1日3回飲みます。
蓮根療法:咳がひどい時に用います。蓮根をよく洗い、おろし金でおろしたしぼり汁を盃1杯ずつ、1日数回咳のひどい時に飲みます。また、蓮根の節(ふし)を集めてこれを煎じて飲むと咳に効果があります。一般的な風邪には蓮根のしぼり汁盃2・3杯をコップに入れ、生姜のしぼり汁を少々加え熱湯をさし、自然塩もしくは生醤油を少々加えて飲みます。風邪のため声がれがする時には蓮根のしぼり汁盃1杯に黒砂糖少々を入れて飲みます。
りんご療法:のどや体のふしぶしが痛んで熱っぽい時には、りんごを皮ごと下ろして小さい子供用茶碗1杯程度を食べます。しかし、この療法は体力のある方に限ります。小児やお年寄りなど体力のない方にはりんご1個をすり下ろし、半量は自然塩小さじ1杯程度を加えてくつくつ煮たものを食べさせます。もう半量はしぼって、そのしぼり汁に自然塩を少々加え、温めて飲ませます。
ねぎ療法:風邪の引き始めには、ねぎの白い部分を3cm程度の長さに切り、熱湯に1〜2分漬けます。このねぎのしぼり汁を盃1杯、就寝前に服用します。また、東京ねぎ1本程度のねぎの白い部分を軽く焼き、みそを付けて食べます。のどが痛んだり、腫れた時には、ねぎの白い部分を軽く焼いて、薄いタオルにねぎを巻いてのどの部分を温めます。
 この他にも様々な療法と手当法がありますが、これら民間療法は、西洋医学による風邪薬と併用していただいても大丈夫ですが、大根湯を使用する場合には解熱剤は不要です。
 私事になりますが、私は本年3月31日をもって滋賀県立大学を定年退職し、この退職に伴う最終講義が3月16日に行われました。雪の降る寒い日でしたが、上嶋会長を始め大和理事、堀内理事、松本理事、藤川さんの奥様、グラクソ・スミスクライン岡田さん、関さんらが聴講に来られ、NPO法人より花束を頂戴いたしました。この紙面をお借りしてNPO会員の皆様に厚く御礼申し上げます。また、4月26日に名誉教授の称号を戴きましたのでお知らせいたします。これからも皆様に役立つ内容をお届けしたいと考えています。
【参考文献】赤本.東城百合子 自然療法 あなたと健康社


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