MAN会報
不整脈といわれたら

財団法人心臓血管研究所 本部長 山下 武志

 健康診断を受けると、その診断結果に必ず心電図の判定が載っています。多くの場合、一般の人には意味不明な単語が書かれているだけで、その判定も異常なのか、正常なのか判断するには微妙な「B」や「C」が多いと思います。その上でさらに医師から「あなたは不整脈がありますね」という言葉を聞くと、少し不安になります。あるいは、健康診断ではなくても・・・じっとしているのに胸の鼓動を普段より強く感じたり、脈が抜けたりすると、「このままどうかなっちゃうんじゃないか?死なないだろうか?」と恐怖感に襲われるかもしれません。なにしろ、不整脈という言葉や胸の不快感は、これまで意識していなかった心臓に対する不安感や恐怖感を脳に呼び起こしてしまうからです。実際に、著名人が不整脈が原因で脳梗塞になったとか、突然死したなどというニュースを聞いてしまうと、不整脈=脳梗塞あるいは不整脈=突然死と考えてしまいがちです。

 しかし、実際は道を歩いている人のほとんどの健康な人に不整脈があると聞くとどう思うでしょう。健康な人も含めて24時間心電図検査という検査を使って一日中心電図を記録して心臓に何が起こっているのかを観察すると、すべての人に何らかの不整脈が認められます。そう、ただ多くの人がその存在に気づいていないだけなのです。では、道を歩いている人に突然死がそんなに頻繁に起きているでしょうか?こんなことから、不整脈の多くは無害であることが証明されています。不整脈と言われたからといって不安がる必要はありません。不整脈には様々な種類のものがあり、その多くのものは放置していて構わないものです。
 では、すべての不整脈が無害なのでしょうか?そうとも言い切れないところが難しいところです。というのも、不整脈は、心筋梗塞、狭心症、心不全など心臓の別の病気のサインであることがあります。あるいは、将来の脳梗塞のサインになっていることもあります。不整脈自身については怖がる必要はないのですが、不整脈と言われたらそれを契機に一度心臓や血管のチェックをするようにしましょう。不整脈は健康維持のための重要なお知らせと考えましょう。


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