MAN会報
心と身体の健康について考える

顧問理事 津田 禎三

(一) 健康で元気でありたいと願いはするが、 自分の健康法を書くなど考えてもいませんでした。
 来年は米寿かと、 改めて裸の自分に見入りました。 「ご苦労さん。 よう、 ここまでもってくれた。」 そんな思いが込みあげてきました。 盲腸・胆嚢と大きな手術跡がいとおしい。 太平洋戦争の末期には、 大学二年で学徒兵として応召、 海軍士官として海に斗い、 飛行機事故で台湾は東港の海に、 最後は、 航海士として乗組んだ駆逐艦がフィリッピンを前にしてアメリカ爆撃機の集中攻撃により、 バシー海峡の海に沈められました。 『右下腿貫通爆弾々片創、 複雑骨折、 左右大腿盲管爆弾々片創』 これが私の公式の戦傷障害名です。 私の両脚には、 今もアメリカ製の鉄の破片七箇が棲みついています。 こんな身体で、 よくぞ今日まで働き生かせて頂いたと、 神と両親に 「ありがとうございます。」 と感謝の心、 切なるものがあります。

(二) 私の身体と精神の健康管理は、 小学校時代に遡ります。 父が悪餓鬼の私を鍛え直すため座禅の町道場に連れていきました。 そこで教え込まれた 『腹式呼吸』 は、 この歳でも励行し、 脳の活性化と心の動揺を抑え集中力を高めるのに大きな力となっています。 やり方は簡単です。 ―自由な姿勢で背筋を伸ばし、 目は軽く閉じる。 鼻から大きく息を吸い込み、 へそ下、 下腹部を力強く膨らませ暫く息を止める。 後、 ひきしめた口からゆっくりと吐き出す。 息を吐き乍ら下腹部をへこます。 以上を繰返すだけです。 大事なことは、 『腹式呼吸』 を随時随所で短時間でもよい、 意識して繰返し実行することです。 人前で話しをするときや、 難しい交渉をする前にこれを行うと気持ちが落着き力と自信が満ちてきます。 『腹式呼吸』 は私の健康法の柱であり、 生活と仕事を支える原泉でもあります。

(三) 『常に前向き、 全て前向き』 そして楽しく生きること。 これが私の強い願いであり、 何ごとによらず頑張るのではなく楽しむことが大事と心得ています。対象が何であれ物ごとを楽しみ感動するとき、 脳は活力を増し身体も心も生き生きとしてくるのを感じます。 前向きの生きざまが人間にとって、 どれほど大切なことかは年を重ねるにつれて分ってきたように思います。

(四) 私は、 弁護士という仕事の関係で大きな声で喋る機会に恵まれています。 人との話し合いには頭も使うし気力も要します。 八十代も半ば過ぎて現役かと、 人は驚くようですが、 私は、 自分の心と身体の健康のために、 与えられた仕事を大事にし楽しんでいるのです。 無理をしたり頑張っているわけではありません。

(五) 歳をとっても、 あまり見苦しくならないためにと、 毎朝風呂場で素裸になりシャワーで水を浴び、 顔から始めて身体中、 我が手で、 ごしごしこすります。 併せて筋肉を鍛えるため脚の屈伸運動を百五十回程やります。 こすることと屈伸運動は一日も欠かしたことはありません。 何ごとも続けることが肝要です。

(六) 最後にサムエル・ウルマンの 『青春』 の詩の一節を紹介します。
 ときには、 20歳の青年よりも
 60歳の人に青春がある
 年を重ねただけで人は老いない
 理想を夢を失うとき初めて老いる
 頭を高く上げ希望の波をとらえる限り
 80歳であろうと人は青春にして巳む
なにわ橋法律事務所 所主

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