MAN会報
ほんとうを書く

当会 会員 元 本会報編集長  木田  菫

   何事でも嘘を吐かない。 嘘を書かないつもりでいるが、 文章にすると、 文学的修飾が過ぎてほんとうの腹の底を割った気がしない。 いまはそうでない様に書く。
 私は小学校二年の後半から肺尖カタルにかかって、 肺尖カタルは結核にならなかったけれど、 呼吸器へ移管して、 以後の小学校の出席率は、 半分以下だったので健康的、 身体的に中等学校へ進めなかった。 二年位してから高等科を出て、 天王寺商業の夜間部を卒業した。 頭脳はそう悪い方ではないと思っているがその卑学感がどこまでもついてきた。 その余波で全ての公的なものを否定しようとした。
 二十年前公害病認定患者の資格を得たのも宮武先生のお蔭だった。 一応最初の申請はしてあったが、 却って病気の為にならない (当時どこの医者にもかかっていなかったから) と思って進行させなかったのである。 それを押さえて宮武先生が申請、 資格獲得までやって頂いたのであるから、 宮武先生のお住まいの方角へは足を伸ばして寝ておられないと思う。 ということもあるが、 一方健康保険制度が現在ほど国内に充分に広域的汎布していなかった所為でもあるからかも知れない。 会社組織のそれは完全施行されていただろうが多くの個人申告、 納税がまだまだ曖昧だったのではなかったろうか。 保険料未納で保険証授与否定などの問題が時々新聞などに出るが、 どこでもほぼトラブルを聞くことの少なくなったと思うのは私だけだろうか。
 在宅酸素療法の重い酸素ボンベ引張り廻しての私でも日本全国何所へでも行けるし飛行機にさえ手続きを済ませれば割引料金で旅行も出来得る・商社の手配が全国も網羅なく行きとどいているからであろう。
 医療団体や商社のお世話でハワイへ行かれた話は聞いたがアメリカ本土へはどうであろうか。 欧州諸国やアメリカなどは健康保険制度体制が確立されていない様に思うのでそれらの国々へは、 在宅酸素患者は旅行出来ないのではあるまいか。 韓国、 中国、 北朝鮮まで酸素無しの時に行ったが、 台湾の故宮博物館へは行ってみたいものだ。
 他人によっていろいろ言い分はあるにしても健康保険制度の確立ほど今の私に有り難いものはない。

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