MAN会報

「特定非営利活動法人(NPO)
御堂筋アズマネットワーク」
発足に寄せて

当会 特別顧問理事 宮武 明彦

 平成12年10月13日に御堂筋アズマネットワークが特定非営利活動法人(NPO)の資格を大阪府から正式に認証され、10月25日法人登記を完了されましたこと、心からお祝い申し上げます。これもひとえに御堂筋アズマネットワーク会長上嶋幹子氏、事務局長高峯秀樹氏をはじめとした、NPO申請プロジェクト・チームのご努力の結果と称賛いたします。
 今後は、御堂筋アズマネットワークは正式な法人団体として、公に活動を開始することになります。発足当初より御堂筋アズマネットワークの活動の基本は、会員同士の喘息の情報、知識の交換はもとより、広く気管支喘息で苦しんでおられる患者さんに対して、最新の喘息治療情報、啓蒙活動を提供することを主旨として参りましたが、今後さらに二つの活動目標を提案させていただきます。その一つは禁煙運動、もう一つは日本人遺伝子バンクの創設であります。

(1) 病気を作らない病気にならないための禁煙運動
 喫煙はタバコを吸う本人は言うに及ばず、喫煙習慣のない周りの人々に対しても、害(間接喫煙あるいは受動喫煙)を及ぼすことが医学的に明らかにされ、先進国を中心に世界中で禁煙運動が展開されていることは周知の事実であります。アメリカ合衆国においては、数年前から人々の集まる交通機関や公共施設、20席以上のレストラン等において完全禁煙が実施されて来ました。オーストラリアにおいても今年の9月から、人々の集まる所はすべて完全禁煙となりました。喫煙問題は、今までのように各人の趣味嗜好の問題から離れ、以前に比較して喫煙者の倫理感が強く問われる時代に入ったといえます。
 しかし、気管支喘息患者さんで喫煙を中止出来ない人達は決して少なくありません。遅まきながら、日本の医学学会が喫煙問題に取り組み始めましたが、喘息患者に対する禁煙プログラムなどは全く確立されていないのが現状です。
 このようなことから患者が主体となって患者主導の禁煙プログラムの立案を行い、会員から禁煙の提案・実施を始め、会員以外にも啓蒙を開始します。

(2) 日本人遺伝子バンク創設
 平成12年6月、クリントン大統領のヒトゲノム解読完了宣言は予定されていた時期よりも、数年早く発表が出されました。しかし、IT革命により遺伝子研究のスピードが如何に加速されようとも、ヒト遺伝子地図のどの部位に病気遺伝子が存在し、その遺伝子機能がどのような機序で病気を発症させ得るかを明らかにするためには、人間の血液あるいは組織を使っての研究を避けて通ることは出来ません。現在、病気で苦しんでいる人達の協力のみでは、疾患遺伝子の働きや機能を明らかにする事は出来ません。何故なら、病気を持たない健常人との比較検討がなされてはじめて、病気の遺伝子の何処が以上であるのかを判定する事が可能となります。また、このことが遺伝子治療あるいは医薬品の開発へと繋がって行くのです。
 この遺伝子研究で問題なのは、人種間で病気の原因となる遺伝子の違いが存在することです。例えば、白人の高血圧症病因遺伝子の所在が明らかにされたからといって、日本人の高血圧症遺伝子が必ずしも白人や黒人と同じ場所に存在するとは限りません。即ち、日本人の病気の解明には、その病気に罹患している患者さんと、その病気と全く関係のない健康人両者の血液サンプルが必要となります。当然のことながら薬物療法も日本人と欧米人とでは異なる可能性があります。そのため日本人自身の血液サンプルを基にした遺伝子研究と、それに伴う薬剤開発が必要になって参ります。このように遺伝子研究は日本人一人一人が生命科学進歩のために、自分たちの血液提供が必要であるという意識改革とボランティア精神の昂揚が起こって始めて可能になります。
 気管支喘息で苦しんだ経験を持つ我々会員自身がこの遺伝子解明のために、先頭に立って日本人遺伝子バンク創設のための運動を開始しては如何でしょうか。このNPO法人取得を契機に、われわれ会員のより一層の飛躍を願っています。

(医療法人 宮武内科院長)
●もどる●